そして、何もかも失った


敗北感がじわじわと自分を襲う

























































































BALANCE GAME









































































壊れてしまってから、大分日にちが経った
                           バランス
長い時間をかけて築き上げてきたあたしたちの雰囲気。崩れるのはあっという間もなく一瞬で崩れちゃったけれど、元に戻すのにもかなり時間を要するらしい。



どこかですぐに元に戻れるという浅はかな考えをもっていたあたしは、そのことに強い打撃を受けてしまった。別にどこか殴られてアザになってしまったわけじゃなく、どこかを切って血が出てきたってことでもない。それより、もっとイタイこと



あたし...本当に馬鹿だった



......絶対に勝てるという根拠のない自信を、どうして信じてしまったのだろう?








「........どうしよう」








学校から帰ってきて、ずっとベットに寝そべっているあたしは15分に一回はその言葉を意味なく発するだって日が過ぎていくにつれて、あたし達の関係はひどいありさまになっていくんだもの.....。



そりゃ、あたしだってそんなこと望んでないし、一応出来るだけのことはやってみた。最初の方はさっき言った通り、すぐに戻れると思っていたからね。そんな馬鹿なあたしはその翌日いつものように喋りかけたけどね。



だけど、はそっけない返事をしてすぐにどこかへ行ってしまい、しまいにはその日授業に戻ってこなかった。周助は、曖昧に笑っているのだが「話し掛けてくるな」オーラを漂わせていて、英二...は、落ち込んでいた。ひどく、今までこんな英二を見たことないってくらい落ち込んでいた。や周助みたいに拒絶オーラは発していなかっただけ喋りやすかったが...落ち込んでいる英二にさらに無意識のうちに変な言葉をかけてしまったとしたら...そう思うとあたしは唯一喋れそうな英二にもしだいに話し掛けることができなくなってしまった。



                                    バランス
そんな感じで、そうやっているうちに時間は経ち、さらに気まずい雰囲気を作り出す



時が経つにつれて、だんだんと恐怖感が押し寄せてくる。1人でいる時間が多くなり、今では一言も3人とは口もきいていない。昼御飯の時、移動教室の時、休憩時間の時、あたしは全て1人で過ごすようになった。



1人でもいいと思ってたあたしだけど、いざ1人になってみるとやっぱり寂しい。1人っていうのはこんなに寂しかったんだと頭に刻み込まれ、何だか痛くなった。楽しかった余韻がさらに寂しさに拍車をかける。










もう、ここまでだね









............怖いと思うなら、素直に怖がってみようかな










もし、もう二度とあの頃みたいに笑いあうことができなくなってしまったら...?









「.........そんなの絶対に嫌だよ。」









当たり前。あたしはそれが嫌だから、自分の気持ちを最大限まで隠し貫いてこようとした。そうすれば絶対に崩れないという根拠のない馬鹿馬鹿しい自信がどこかに存在してたおかげでね。まぁ...それとは別の理由も存在してたんだけど、あえておいといて...。



あたし、絶対にこうなることは嫌だった。嫌だと思ってたのに、現実になっちゃうのって...神様は意地悪だね...なんちゃって。



ってか、神様のせいにしてどうするのよ、あたし。神様のせいじゃない。全てあたしのせいだ。崩れそうになっても、また安全なようにカバーするとかほざきながらその任務を怠ったあたしのせいなのに。...油断しすぎだったよ、全く。だって本意で崩そうとしているのは周助だけだと思って、周助ばっかりに気を取られてた。



こんなあたしを馬鹿でも何とでも言ってやって。そんなの本意じゃなかったとしても、誰でも崩せるということ知ってたのに油断してた大馬鹿者だからさ。そうだよ、周助だけじゃない。英二にだって、にだって崩すことは容易い。...もちろんあたしも含めて、だ。


                     かこ
....だけど、もう起こってしまった出来事は取り消すことは不可能だ。今からでも取り消しできるのは...今もしくは未来。



それを取り消そうとするのには、どうしたらいいのだろうか.....?



あたしには、その方法が全く思いつかないよ。



何をしたらいいの?


何を言えばいいの?



誰か教えてくれるなんて甘いことは期待しない。自分で見つけなきゃいけないことだから。だから...考えなきゃいけない。ってか、考えてるんだけど浮かばない。必死にさっきから頭の中をフル回転させて方法を探しているというのに、全く浮かぶ気配はない。それどころか見つからないと焦る度に、沈んでいってしまうだ。



暗い、暗い、闇の中へ。








「だー、もう!!!どうしたらいいって言うのよ?!」








闇は怖い。あたしが唯一怖いと思えるもの



闇から覚ますために、自分の枕に八つ当たり。思いっきり壁に枕を投げつけた。ドンッと鈍い音を立てて壁にあたり、ボトっと虚しく落ちていく枕。後で隣の部屋にいるお母さんに怒られるかなと少し思ったけれど、拾いに行く気もさらさらない。怒られても...まぁ、いいや。気にしない。あたしは、はぁと溜息をついてまたベットに横たわった。そして、目を閉じて思う。


あれ
枕はあたしみたいだ



自分の馬鹿さのせいで壁にぶち当たり、ずるずると下に落ちていく。それを拾ってくれる人もいないし、ずっとあたしは何もしない限りそのまま。目の当たりしている壁を越えることが出来ず、ただそこに存在していることしか出来ない。...落ちていることしか出来ない。



そんなことしかできない自分に、無性に腹が立ってくるよ。



どうしよう、と弱音を吐いても、答えてくれる人がいたならという期待を棄てきれないあたしにもっと......腹が立つ。そして、情けなくなってくる....。








.......ってか、強い奴が弱音を吐いてどうする?








....そうだよ、あたしは.....強いの。どこからどう見ても強いの






........それでも、そんなあたしだって途方に暮れるときもあることを思い知らされたよ






...........強ければいいってもんじゃないだね

















「あたし、まだその人のことが好きだってコトですよ」





「...簡単に諦めきれる気持ちで思ってたわけじゃないですし、それに....。」





「あたし、まだ頑張れますもん」















......きっと、あたし達はそんな風に人を真っ直ぐに好きだと言えることを望んでるに違いない



もっと、頑張りたいって....そう思ってるに違いないよ....















































































あれから何もないまま時間は流れていった。



崩そうと最初に思ってしまった自分が言うのもなんだけど...やはり、崩れなければ良かったと後悔している。罪悪感が胸の八割を占め、その感情に押しつぶされそうな今ほど自分が自分を辞めたいと思ったことはない。



それほど...僕がしたことは自分勝手で...最悪な行為だ。自分の弱さのせいでジェンガの土台を少しずつ脆くしていく。そして、最後に少し触っただけで崩れる始末にしてしまう。



僕は何て愚かなんだろう?



崩れた後には....何も残らないじゃないか。虚しさ、後悔という気持ちを除いてね








「..........どうしたらいいんだろう」








言葉にならない感情が二割ほど僕の中で潜む中、言葉になるのはその気持ちのみ。今、僕は部活はとてもじゃないけど参加する気分にはなれず、早退して自室に籠もっている。外からの光を遮り、薄暗い部屋の中でただ1人、考える。寂しさなんかは気にならない、それ以上のことを知ってるからね。



それよりもそんなの気にしてる暇があったら、考えなきゃ。これからのこと。自分がしなくちゃいけないこと。



誰かが教えてくれると期待は全くしてない、これは自分で考えなきゃいけないことだから。でも、考えても思い浮かばなくて、余計に分からなくなってくる。僕は一体何をしたらいいのだろう?



    やってしまった事
   
僕は、過去を恥じて、その代償を支払うべきなのだろうか?



        これから
それとも...未来のために行動を起こすべきなのだろうか?



...........どっちもするべきだと思うのだが、その方法が思いつかない








「......本当。僕ってカッコ悪いね。」








そう思わずにいられない、溜息をつかずにもいられない。手を額に当てて、改めてそう口に出しても何かが変わるものでもない。しんと静まり返った夕方の部屋の中で、ただひたすら時が流れるのを感じることしかできないんだ。まだ裕太は寮に入ってるし、母さんも姉さんも帰っていないことがさらに静けさが濃くなり、その静けさの中でただ1人無力な自分を責めることしか.....できないんだ。



この状況を180度ひっくり返せる力を持っているなんて自惚れてないけれど、それでも....ゲームの一員として、何かをしなくてはと焦りすら感じる。















「まずは謝罪から。本当にごめんなさい。あたし、フラれたけど先輩のことまだ好きなんです。迷惑ですけど、こればかりは譲れません」




「ありがとうございました。先輩」




「あたしにいい恋をさせてくれました。あたし、先輩を好きになってよかったです」















人は悲しくなりたくて、恋をするんじゃない。でも、恋をすると悲しさは必ずついてくるモノじゃないだろうか?



............それでも、僕だってそんな風に人を好きになりたかった



好きな人がいる人を好きになっても、そう言える人間になりたかった。彼女が僕を決して好きにならないと分かりきって諦めようとしている自分みたいな人間じゃなくて、真っ直ぐに人を好きになってよかったと純粋に心から言える人間になりたかった。



ありがとうと言える人間になれるものならなりたいよ。



今すぐに....。そしたら、少しは状況が変わっていたかもしれない。きっと...変わっていた。



それに、ごめんなさいとも言えたらもっとマシな状況だったのではないか?








「...........ごめん。、英二......








この声は決して届かない。その理由は決してその3人と離れているからではない。届かないけれど、届かない場所じゃないと僕はごめんと言えないから、今は許して欲しい。



それに、謝らなきゃと気付いたのは、恥ずかしいけど崩れた直後。...早く気付くべきだったね、全く。



ごめん......。知らない間に...傷つけてしまったみたいで本当にごめん

ごめん......英二。いろいろとしんどい思いをさせてしまって、本当にごめん

ごめん......。君を苦しめることばっかりしてしまって、本当にごめん



そして...........好きになってごめん......































































あれから時間はただ流れていった。早く流れるわけでもなく、ゆっくりと流れるわけでもなく。



それでも、あの日のことは鮮明に覚えている。全部....私が悪いんだってこと。みんなは全然悪くないのに、私のせいで今こんなことになったんだ。みんな我慢してたのに、私だけ耐えられないなんて......最悪だよ。応援してくれてた人の前で弱音を吐くなんて......もっと最悪。最悪すぎて自己嫌悪どころじゃ済まないよ。もっと、自己嫌悪よりも醜いもの。



私、これほど自分が自分のことを嫌になったってことない。.......私、どうすればいいの?



.....ダメ。ここで甘えちゃいけないの。自分で考えなきゃいけないのに、他の人に頼ってばっかりでどうするの?...こんなのだから痛い目見ないと気付けない。気付けなかったから、とんでもないことをしてしまったんだ。私はジェンガを崩した負け犬だ。








「..............どう...したらいいのか....もう分かんないよ」








自分で考えろって話だけど、どうしたらいいのか分からないっていうのは事実。....というより、私...まだみんなに話し掛けられる権利を持っているのかな?



あんなにヒドイことをして



あんなに無神経なことを言って



こんなにも....自分のことばかりを考えてる



そんな私が、みんなに話し掛けるのは....図々しい気がするよ。虫が良すぎる話に過ぎない。そして、そんなことを期待する私自身に腹が立つ。



また、あの頃みたいに話せたらいいなあ



私が壊す前より少し前の頃の私たちに.....戻れたらいいなあって



そう願ってしまう私は、なんて.....自分勝手なんだろう。自分で崩しておいて、そう望む。こんな奴、バカにしないでっていう権利もない。バカにされて当然だ



直感が良くなった?――――ふざけないで。本当はもっと早く気付くべきだったんだから



教えてくれてもよかった?―そんなの他人に頼ることじゃない。自分で考えることなんだよ








初恋は実らない?――――..........それは、そうかもしれない








「.........そうだよね。....そうだよ。」








     わたし
こんな人間を好きになってほしいと思うのも、我侭な願いだったんだよ。.......周ちゃんが私じゃなくてを選ぶのは当然のこと。だって、は.....本当にいい人なんだもん。いつも私の相談を親身になって乗ってくれたり、励ましてくれたり...がいてくれて良かったと何度も私が思ったくらい、いい人なんだもん。だから...当然。周ちゃんが好きになるのは当然。



.....そしてそれに気がついたのは喫茶店に行った日。と英二と別れた後、周ちゃんと2人で帰ってた時だったんだ。歩きながら、何気ない会話を楽しんでいて話題がの話題になったんだ。



その時の周ちゃんの顔.....どんな顔か分かる?



すっごく優しい顔してたんだよ



周ちゃんは誰にでも、私にも優しいけど私には見せたことのないくらい優しい顔をしてたんだよ



............その時、気付いたんだ。やっと.....



やっと気付いたんだ



でも.....それは








「遅かったんだよね。気付くのが....。もっと早く気付いてたら...良かったのに」








それに今ごろ気付くのも、遅いよね。本当に、遅すぎて笑っちゃうよ。もっと早かったら、私.....まだ諦めがついてたかもしれない。.......でも、何度も言うけど、もう遅い。









ビギナー
初心者なりに人を好きになりすぎた








だから......と周ちゃんのキスシーンを見た時、苦しくて、苦しくて、耐えられなくなって.....酷いことをして、崩してしまったんだ



今まで築き上げてきたモノを犠牲にして.....自己主張を押し付けてしまったんだ



......もう取り返しのつかないことを....してしまったんだ















「あたし、邪魔な所に突っ立ってたよね。本当にごめん!大丈夫?」














もし、私が真っ直ぐに手を差し伸べられる優しさを持っていたのなら....崩すというミスを犯さなかったのかもしれない.....でも、残念ながら



そんな優しさを持っていなくて、そんな自分が....嫌を通り越して、悲しいよ












































































時の流れが早い、そのことを改めて実感した。俺は、の話だけど。



とにかく早かった。しかも何も過ぎていった日々には存在しない。その間、みんなと一緒にいることはなく、俺は休憩時間の度に1人で屋上へ行ってた。酷い時にはそのまま授業もサボっていた。



....要するに、逃げてたと言う訳だ。教室にいると、や不二、がいる。軟弱男の俺は、とてもじゃないけど気まずい雰囲気に耐えられる神経を持ち合わせていなかった。それに...気持ちが重くてそれを支えるのに精一杯。話し掛ける勇気も持ってないし、余裕も....ぶっちゃけた話なかった。



接触といえるのは1回だけが話し掛けてきた、それくらいだ。それっきりは俺に話し掛けてきていない。は俺と目を合わせようともしないし、不二は同じ部活だけどどこか俺に距離を置いていた。俺も俺で、何も行動しないまま日々は過ぎていった、簡潔的に言えばそういうことだ。








でも、俺だってこのままでいいって思ってるわけじゃない



こうなったのも、全部とはいかないけれど俺のせいだと思う



それに........みんなにつらい思いをさせてしまったことも悔いなければいけない



今までを振り返って....みんなに良くしてもらったことも忘れてはならない








自分の部屋にて、ベットに仰向けになりながら俺はそう思う








だから..........俺は..........








「動かなきゃいけないんだ。何か......しなきゃいけないんだ」








今の状況の中で、きっと俺が一番楽に違いない。そりゃ、俺も苦しいし、つらいよ?だけど、みんなのつらさに比べたら.....比べるのも失礼なくらい楽してると思う



には、頑張らせすぎた。きっと、あの時いつもの笑顔を作るのにたくさんのエネルギーを使ったんだろうな。そう考えると.....いつも、そんなことをさせてしまっていたんじゃないか?もしそれが本当だったら.....気付いてやれなかった俺は、バカだ。というよりバカよりもっとタチが悪い



不二には、無神経すぎた。情けない話だけど、俺が不二に何をして傷つけたのか、何を言ってつらい思いをさせてしまったのかは分からない。でも、事実は変えられない。俺のせいで、不二はつらい思いをしているということ。



には...自分の気持ちを押し付けすぎた。の気持ちを知っていて、自分の気持ちを押さえきれず、を傷つけてしまった。にとってはこの気持ち、迷惑にすぎないのは分かってる。を困らせることも分かってる。....それでもこの気持ちを棄てることはできないから...それは分かって欲しいな、と思うんだけど.....俺の我侭に過ぎないよな。うん



とにかく、だ。俺が言いたいのは.....俺が動かないといけないということだ。それに、俺は...頑張れるよ。というより今まで頑張ってなかったから、頑張れる。



もっと言えば、今頑張らなくて、どうするんだ?俺















「........仲直りしないの?」





すごくしたい。けどさ.....




「......悪いことをしたのなら尚更仲直りしなきゃ、ね?」





........そうだよね。けどさ、の続きなんか言い訳で通用しない


悪いことをしたのなら...謝らなきゃいけない。


.......仲直りしなきゃ、なんだ




「いつまでもこのままじゃ....ダメだって分かってるよね?菊丸君も」




うん。それは痛いくらい、よく分かってる。


いつまでもこのままじゃダメだって........


いつまでもこんな俺じゃ.....ダメだって




「頑張って。きっと上手くいくよ」




――――――――――――――――――ありがとう















「.........よし!」















俺の中で何かが弾けた。それはベットから起き上がる勢いとなった。そして、急いで押入れを開けて中のモノを漁りだす。.....確か、あったような記憶がある。この前、兄ちゃんと部屋の掃除をしていて、こんなのもあったんだなぁって兄ちゃんと言ってたはずだ。うん、確かに自慢の目でアレを兄ちゃんが押入れにしまってたのを見た.....そう、たぶんこの辺....








「....おっ、発見!」








お目当てのモノを見つけ、俺はそれを押入れの中から取り出す。せっかくこの前片付けたところなのにまた散らかしてしまったことはこの際無視。大分前に買ったもんだから...古いなぁ。かぶっている埃も払い落とす。.....まぁ、使うに当たっては問題ないよな。うん








「............決行は明日だ」








善は急げ



善といえるのかは分からないけど、俺的には善だと思うから善は急げということにしておく



......急がば回れ、は俺がずるずると日にちを引き延ばしてしまう恐れがあるので却下








  
                 これから
明日............俺たちの運命を....決めようじゃないか....




























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