「ルールは簡単。このジェンガを崩さないように順番に引いていくだけ。でも、それだけじゃ面白くないから引くたびに自分の本音を一言ずつ言っていくことしよ。......んでもって、もちろんこれを崩した人が負け。分かった?」            




.....怖い。また、負けるのが、怖い































































































BALANCE GAME

最終的に自分が崩してしまったと後悔している女の視点







































































私は、結構鈍感な部類に入るらしい。そこが、いいとこだけど、って、は笑ってくれたけど...私は、そこが私の悪いとこだとしか思えない。..........大事なときに気付けないんだもん。気付いた時には、後の祭り。祭りの後は、賑やかさの余韻が、とても寂しくて、むなしいんだ...。



もっと、早く気付きたかった、そんな後悔すら、私の中に残る。それが苦しくて、苦しくて、何度も泣き出しそうになったけど、涙は出なかった。もう、私の心は潤ってないから。涙の泉は枯れ果ててしまって......私、涙以外にどうしたら、苦しさを外に出せるって言うの?弱音を吐いても、苦しさは外に出ない、深い溜息をついても、無理だし。



どうしたら、この苦しさから解放されるの..........?



いっそ、この恋心すら、消してしまいたい



なんて、思えないから、苦しさから逃れられないって言うの?



........苦しさが膨張して、胸が千切れそう



            ゲーム
そして、ここで、また遊戯に負けたら......自分はもう、立ち直れないんじゃないかって



































































「.......面白そうじゃん。あたし、やるわ」




























































そう思ってしまうと



そんな、こと、とてもじゃないけど、言えなくて



怖くて、そんな偽りでも強気になれなくて



.....そう、自分のことばかり心配してしまう自分がイヤで



......どうして最近、こんなことばかり考えてしまうんだろう?今まで、こんなこと考えたことなんてなかったのに....。やっぱり、『恋』という感情を抱いてしまったせいなのかな?『恋』の矛先を、他に好きな女性のいる男性に向けてしまったからなのかな?...でも、恋をしなければ良かったとは、思いたくない。後悔、なんてしたくもないよ。今、苦しい理由が、『恋』だなんて言いたくないよ....



でもね。私がその感情を抱く前はね、『恋』ってとっても楽しいものだと思ったんだ。みんな、とても幸せそうに笑って、その人のことを想ってたから。明るく、楽しそうに、その人のことを話してくれるから。そんな女の子達が、とっても可愛く見えたから。『恋』って、こんなに人を魅力的に変えちゃうんだ、と素直に感心したんだ。そして、自分もしてみたい、って思ったんだ。こんなにも、幸せな笑顔になれるのなら、してみたいって思ったの。それは素敵なことだと思ったの



私がそう思ったのは、決して間違いではなかった。現に、恋心が私の中に芽生えて、その恋をした相手のことを想うと、本当に幸せな気持ちになれて、楽しかったよ。その人と会話をするたびに、高鳴る胸の鼓動が心地良くて、その人の笑顔を見るたびに、私の心が温かく、明るくなったんだ。恋をして良かった、とそう思えて、そう思えたことが、とても嬉しかったんだ



だけど、それは、少しだけ違っていたのかな?恋は人を幸せにさせるけど、逆に悲しくもさせるってことに私は、気付かなかったんだ。だって、恋してる女の子達は全然悲しそうな表情をしなかったから、勘違いしてしまったんだ。今から思えば、その女の子達は、心の中では切なくて悲しい、という感情を抱いてたんだ。それを外には見せないだけで、自分でひっそりと心の中に忍ばせてたんだね。いつでも、泣きたいだろうに、涙をずっと堪えてたんだね。そんな愁いを、覆う、そのベールがとても魅力的すぎて、私はとんでもない勘違いをしていた






『恋をすると、女の子はキレイになる』って言うけれど、本当はみんな醜い気持ちを抱いてる



それを隠すために、見た目だけでも、美しく魅せようとするんだ



好きな人のために可愛くなりたい、そういう理由もあるけれど



恋をしたら抱いてしまう、この醜い感情の色をほんの僅かでも薄く出来たなら、と



可愛くなりたい、と願うんだ



それは私も、他の恋をする女の子達にも共通していることだと思う



ただ、1つだけ、私と他の恋をする女の子達は、違う点がある



それは.....私と違って、他の恋をする女の子達は、可愛くなりたいという願いを願いだけで、終わらせてないということ



必死に努力して、その女の子達は、自分を可愛く見せる



実際、とても可愛い。とても魅力的なんだ



一方の私は願うだけで、何の努力もしていない



..........醜い感情を覆えるほど、私のベールを美しくしていない



だから、私は醜いんだ。醜い感情を曝け出してしまうほど








「......良かった。ならそう言ってくれると思ったー」
「当たり前。....望むところなんだから」
「わお、闘志溌剌。怖えー」
「まだまだ序の口よ。.......ところで、周助とは?」








だから、彼も、私を選ばなかった。それは、当然のこと



は、私から見ても魅力的。何より、その強さに、私は魅力を感じる。なんの躊躇いもなく最終遊戯を受けるといえるし、そのやる気に満ちたその表情が、とてもキレイだった。そう、怖いくらいに。私には、ない光を放っていて、眩しかった。いいな、と思った。その感情こそが、私の心を黒に染めると知らずに。......怖い、怖くて、たまんない



だから、に、話をふられたとき、驚いた。恐怖に駆られた。その真っ直ぐな瞳から、目を反らすことができずに、おどおどとしかできなかった。



怖い、怖い、怖い



怖くて、たまらないの



負けることが............怖いの



負けたら、立ち直れないし、それに......



恋をしなきゃよかった、って思うようになってしまうかもしれない、と思ったら、余計に怖い






逃げたい、今すぐに、どこか遠くに行きたい






だけど..............








「........分かった」
「うん.....」








私は、逃げられない



.........分かってる、逃げちゃダメだって分かってる



逃げる勇気を、立ち向かう勇気に変えなくちゃ....いけない時だってあるの



私は、ただ、こくんと頷いた。それから、自分の表情を見られたくなかったから、俯いたまま。自分が今、どんな表情をしているのかは、分からないけど、きっと情けない表情をしていることは確かだから。



.....こんな、ゲームの前から負けることに怯えてる自分が恥ずかしい。....見られたくない、そんな弱い気持ちから、私はいまだ俯いたまま。おかげで、みんながどんな表情をしているのか分からないけど.....



あれ?今、空気が何か動いた気がする...そんな気がして、少しだけ目線を上にあげてみる。と周ちゃんが、英二が用意してくれたイスに座っているのが見えたから、慌てて2人に倣う。うー.....やっぱり、怖い、怖くてたまんない








「...........じゃあ、始めようか」








英二のこの一言で、本当の意味で、ゲームが始まったんだ


































































「じゃ、まず俺からね!.....本当にごめんな」








英二はそう言って、ゆっくりとジェンガに手を伸ばした。....うん、まだ大丈夫。全然崩れる気配はない。最初だから、当然といえば当然だよね。考えてみたら、それは当然のこと。........あ、そっか。油断してたから....崩れることなんかこれっぽっちも考えてなかったんだ。だからこそ崩れて残る感情は虚しさ。そして、英二の言葉は、私が最も言わなきゃいけないこと。英二は...そんな言葉、言わなくてもいいのに...








「って、何よ。いきなり....あたしだって...ごめんだよ」








も、また、ジェンガを引く。の言葉も、英二と同じ『ごめん』......どうしてだろう?は、『ごめん』と謝ることをしてない。それは、英二にも言えることだけど、2人とも、そんな言葉を言わなくちゃいけない行為なんて、してない







「どうして2人が謝る必要があるの?...謝らなきゃいけないのは間違いなく僕でしょ?」








抑揚のない、周ちゃんの声。その声が、私の胸をこんなにもざわつかせる。でも、今は抑えなきゃ..うん、周ちゃん、私もそう思うよ。でも.....周ちゃんも謝る必要なんてないんだよ?2人同様、そんな言葉を言わなくちゃいけないことなんて、一つもしてない。したのは....








「違う。一番謝らなきゃいけないのは...私。本当に.....ごめんなさい」








この私。1番謝らなきゃいけないのは、紛れもなくこの私。『ごめんなさい』と1番言わなくちゃいけないのは、この私なんだよ....。私の自分勝手な感情で、壊してしまった幸せな関係。謝るだけじゃ足りない.....けど、私にはその言葉しか思い当たらない。本当に..ごめんね








「....何だよー。みんな、最初に言う言葉は同じってこと?」








ははっと苦笑して、英二は言う。そして、髪を梳きながら、器用に片手でジェンガを抜く。.....うん、そうみたい。みんなは謝る必要なんて、ない、んだけど....








「みたいだね。少なくともあたしはそうよ。最初に言う言葉だけは『ごめん』って決めてた」








ううん、。私も同じ。最初の言葉は『ごめん』...それしか、思い浮かばなかった








「僕も。....ただ、謝って許されるとは思わないけど」








......特に、私は、許されないことをした。謝って許されることなら、なんて響きが良いのだろうと思ったけど、現実は甘くない。私は、謝っても許されないことをした。だけど....








「うん。そうだね。.....でも、それでも謝りたい」








謝りたい。それしか、言えないから。何にも言えないなんて、余計....嫌だよ。この溢れる気持ちを言葉にしたい。








「......俺もみんなと同じだけど。謝ってたらキリがないから、別のことにしない?」








英二....英二、はどうして....そんな、言葉言えるんだろう?.....すごいなぁ...。そう、皮肉もなく、そう思う。英二は、すごい。だって、英二は言わなきゃいけない言葉は『ごめん』以外にもあること、ちゃんと分かっているから








「あ、それは一理アリね。ってか、何を言えばいいのさ?」








もそれに、納得したようだった。そして、手を伸ばす....すると、ぐらっとほんの僅かだけ揺れた。思わず、の方を見ると、はびくっと驚いたような表情をして、すぐに表情を戻した。ぐっと、何かを堪えて、外に出さないようにしている様...。やっぱり、は........自分の守り方を知らないんだ....








、僕に言いたいこと山ほどあるんじゃないの?......英二も、も」








そう言ったときの周ちゃんの表情。とても、悲しそうに、見えたのは気のせいなのかな?......ううん。違う。気のせいなんかじゃない。周ちゃん、とっても悲しそう。それが何故なのかが分からない自分が腹立たしい。今まで、周ちゃんを見てきたつもりが、本当につもりだったってことが分かったから。......でも、そんな周ちゃんは、強いと思う。私たちの言葉を受け止めようとしているから。その悲しそうな表情の裏には決意したような表情...怖く、ないのかな?








「私は....言いたいことありすぎて、今は...言えない」








英二も、も、周ちゃんも、しばらく顔をあわせなかったうちに、何かが変わっていってる。それなのに、自分は何で変わってないんだろう?...この言葉は事実、嘘はついてないけれど.....私は、逃げてるんだ。言葉にして、傷つくことから逃げてる。怖いから....言えないんだ。みんな逃げずに頑張ってるのに、それなのに自分は...愚かだと嘲笑われても、文句言えない








「俺は...不二に謝りたかった。俺の無神経さが不二を傷つけてしまってたこと...」








英二が、周ちゃんを傷つけたのか、どうかは分からないけど。英二も、唇をぎゅっと噛みしめてたから....それを後悔しているんだ。悪いことだ、と思ってるんだ。悪いことを悪いことだと認めること、それをできる英二は、とても勇気を持ってる。その勇気、分けて欲しいくらい...








「あー、そうね。周助に特に聞きたいことがあった。周助、どうしたの?」








はふと顔をあげて、何処か遠い所を見つめて、言った。そして、ゆっくりとジェンガを抜く。それから、視線を周ちゃんの方に移した。....私の知らないところで、2人の間に何かがある








....どうしたって何を聞いてるのか分からない。それに、英二。英二は無神経なんかじゃない。僕は英二に傷つけられたんじゃなく、勝手に英二に対して妬みの気持ちを抱いてただけなんだよ。....あと、。ゆっくりでいいから...」








周ちゃんは、ゆっくりとそれぞれに対して、言葉を返した。には、の質問の意図を。英二には.....自分の本音を。やっぱり、人間って他人をすぐに羨ましがってしまうんだ。自分にはないものを持っているから、妬んでしまうんだね...。一人一人、とても素敵なところがあるのに。それなのに、自分の素敵なところに気付かずに、人を妬んでしまう。そう思うのは、私も妬みの感情を抱いているから。自分の素敵なところなんて、分からない。でも、みんなの素敵なところは分かるよ。周ちゃん、アナタもとっても、素敵な人だって、こと、知ってるよ








「....ありがとう。周ちゃん...やっぱり優しいね。優しいのは...英二にもにも言えることだけど」








優しい。その優しさが嬉しい。逃げただけの私に、そんな言葉を言ってくれる、周ちゃんはとっても優しい。涙が出そうな優しさに、私が思った言葉はこの言葉。『ありがとう』。こんな時でも、優しくしてくれて、ありがとう。その心遣いが、とても、とても、嬉しい。ありがとう、本当にありがとう..英二も、も、そう言える。言いたい、ありがとうって。私...幸せすぎて、みんなの優しさに鈍感になってた。優しい人を私は、惨めにしようとしてたんだ....それは、本当にごめんなさい








「妬み?...ああ、それはぶっちゃけ俺もだから。プラスマイナスゼロでなしにしよう..?...も十分優しいよ?だから俺は......。うん、ごめんな。本当に」








英二、そんなことない。謝らなくても、いいんだよ。......今、思えば、英二はずっと私のせいで苦しい想いをしていたのに、それなのに、いつも私に笑いかけてくれた。とても、大事にしてくれた。だけど、私が英二にしてあげられること、何かあった?.......ううん、ない。私は、英二の為に何も出来なかった。英二、もっと私を責めてくれていいんだよ....?








「周助なら分かると思ってあえて言わなかったんだけど、ね。単刀直入に言うわ、どうしてあたしを攻撃の的に絞ったの?....ちなみにあたしは自己中で優しくないからね?」








.......やっぱり、2人の間には、何かがあったんだ。私の知らない間に....。ぎゅっと唇を結んで、どす黒い気持ちが外に出そうになるのを抑える。何があったんだろう、という疑問も同時に飲み込んで。......でも、私、は自己中で優しくないとは、思えないからね








「英二、残念だけど僕の妬みの方が黒くて、プラスマイナスゼロになんてできないと思う。それに...、攻撃してるつもりはなかった。ただ....自分を必死に守ってたのは事実。......そんな自分だけを守る奴なんかに優しいって言葉は不似合いなんだよ、








妬みの黒さの違い、ってあるのかな?黒の深さって量れるものなのかな?私は、綺麗な指をそっとジェンガにのばす周ちゃんを見て、そう思った。妬みの黒さなんて...比べられるもんじゃないと、私は思うんだ.....。もし、比べられるというのなら、私の妬みが1番黒い。白という存在を忘れてしまうほど。.....それに、周ちゃん。どうして、そんな悲しい表情するの?自分を守る、それは当然のコトだと考えてしまう、私も悲しくなるよ....。優しすぎて、そんなとこまで自分を責めちゃう周ちゃん.......本当に優しいよ








「そんなことないもん。似合うとかそういうのじゃなくて、本当にみんな...優しいんだもん。英二は謝る必要はないよ。謝らなきゃいけないのは...私のほうだから。それに....は自己中なんかじゃない。だからこそ...自分を守ろうとしなかったんだよね?」








何だかんだいっても、謝らなきゃいけないのはこの私。優しい周ちゃん、それに、英二、、みんな自分を責める必要なんて、ないんだよ。それに、そう。は自己中なんかじゃない。自分を守ることが当然、なはずなのに、自分より先に他人の幸せを願った、は、自己中の反対....とってもとっても、優しいよ







「......話変えて悪いけど、なんか、もしかして俺の知らない所でいろんなことあったんだ?」








私もそう思った。私が気付いてないこと、知らないこと、もっとたくさんあるはず....








「そうみたい。あたしも知らないこと、たくさんありそうだわ」








それを知りたい、だなんて思う私は、浅はかですか?








「僕もそう思う。まぁ、僕の場合周りを見てなかったとも言うけどね」








見逃してしまった自分が悪いって分かってるんだけど








「....全部、私の思ってること言われちゃったよ」








それでも、知りたい。もっと、知りたい








「さぁ、そろそろみなさん自分の気持ち言う頃じゃないですかー?もうグラグラしてるし」








.......我侭、で本当にごめんなさい。でも、もう抱いてしまった気持ちは消せないの








「もしかして、それが狙いだったの?英二」








消すことが出来てたのなら、私はこんな苦しい思いをしなかった。英二も、も、周ちゃんも








「なるほど、ね。一番の本音を言わせたかったんだ?...で、言いたかったんだ?」








たった一言でしか言えないこの感情。たくさんの言葉じゃ言い表せない








「.......うん。全ての始まりの根拠のことだよね?」








世界中でどこを探してもいない自分だけのかけがえのないたった一人の人へ、芽生えた奇跡








「そう。.....俺から言わせてもらうと....俺は、が好きだよ」








『好き』








「あたしは、そんな英二が好きなんだけど?」








私達の中にある気持ちを、形にするには、それで十分








「僕はそんなが好きだ」








シンプルでいいじゃない。好きなものは好きなんだもん








「.........私は....そんな周ちゃんが好き」








その事実が変えられないから、切なくて、苦しくて






























































それでも、好きだと思ったんだ、誰よりも












































































「わぁ、見事にバラバラじゃん。なんか、ここまでくると可笑しいね」








英二は、ふっと、可笑しそうに笑い、さっと躊躇いもなくジェンガを抜いた。...すごい、もうグラグラして、崩れそうだっていうのに。しかも、崩れてないし....すごいなぁ








「....そうね。本当、可笑しい」








も、英二同様笑いながら、さっとジェンガに手を伸ばした。も臆しているようには、全然見えない。むしろ...何か安心しきった表情を浮かべている。....きっと、私もそんな表情してるはずなんだよね....








「....よくこんなに上手く出来たもんだよね。...って、、泣かないで」








周ちゃんも、ほっとしたように笑ってる。柔らかい綺麗な笑顔....私の好きになった笑顔を浮かべてる。そのことが、私の中にあった重いものを取り除いてくれた気がした。とても、軽くなって...今なら、飛べそうな気もする。なんて、ね








「.....ごめ....で、でも、何か、ほっとしちゃって....」








ああ....そっか。だから、私軽くなったように思ったんだ。涙と一緒に流してるんだ。私の涙の泉はもう枯れきった、とばかり思っていたけど....違うかったんだね。また、水が戻ってきた。なんて、嬉しいことなんだろう....?拭っても、拭っても、涙が止まらないよ








「だって、もうグラグラしてて崩れそうじゃん。....言い出しっぺが負け犬かよ」








涙でぼやけてて、そう言った英二の表情はよく分からなかったけど、その口調が、悔しそうなんかじゃなく、むしろ満足そうな声色だった。.....英二は、負けたまま終わりたくない、なんて言ってたけど、本当はそうじゃなくて....このまま、終わりたくなかったんだよね。でも、これが、今の私達にすごく意味があるものだったから、満足なんだ。負けることよりも、次を切り開ける道があったことに大切さを感じたんだね、英二。だから......いきなりゲームを持ちかけたんだ








「あー、もういいよ。負け犬で。だから、ごめん、ルール破りでもう一言言わせて」








ありがとう。英二。心から、そう言いたい。こんな強い勇気を持ってる、英二に、伝えたい。負け犬であることを、情けなく思った、私は、同時にそんな意志のこもった声で言える、英二を尊敬するよ



そう思いながら、次の言葉を繋げようとする英二を見つめた



その綺麗な瞳は、次のように語る














































「俺らって、崩れたままなの?」










































その言葉を言い終わったと同時に、英二はゆっくりとジェンガに手を伸ばした



もう引くとこなんて、ほとんどないジェンガ



..........英二は、引けるところを探して....そして、狙いを定める





私は、その様子をずっと、見つめていた



ただ.....じっと、英二の言葉の意味を、考えていた






私達、崩れたまま....なのかな?



さっき、一緒に笑えたはずなのに.....崩れたまま、なんて



また、建て直し、できないの....?






...........ううん、違う



崩れたまま、それが嫌だから、絶対にできる



立て直すこと、できるよ



大切なのは、私達の意思だもん



........どうして、私、そのことに気付かなかったのかな?





































ガッシャァーン














































「「「「あ」」」」








重なる声と重なる手



重なる声は、ひどく驚いたような声。実は「あ」なんて、音じゃない



重なる手は、、周ちゃん、英二、私のそれぞれの手で



それらの手は...........目の前のジェンガを崩した








































「.......これって、もしかして」
「そうね。みんな、考えることが同じだったってことかもね」
「それに....英二だけ、負けさせないよ」
「うん、今、やっと気付いたしね」































そう言って、思わずみんな吹き出して、そして、笑う



..........ほら、ね、できたでしょ?



やれば、できるんだ。私達の意思さえ、頑ななものであれば、何だって



今、机の上や床に散らばるジェンガを拾うことよりも、簡単なこと



..........やっと、やっと、気付けたんだ




ふと、窓の方に目を向けてみると、もう空は暗い。私達が長い時間をかけて、ここまで来たことを示してる。



空だって、明日になる準備をしてる。....明日、晴れると、いいな


教室に溢れる光、明日も、その明日も、ずーっと先も、あると、いいな



やっぱり、私達は、このバランスがいい



とても、心地良くて、それが、とても幸せで


...........幸せすぎて気付かなかったことを、改めて、気付くことが出来たんだ






そんな私達は、大丈夫



気付けたから、大丈夫



...........まだ、終わりなんかじゃない































「.........崩れたまま、ってのは、俺たちが、怠けてたんだね」
「本当。どうして、気づかなかったんだろう?」
「考えてみたら、本当にごく単純なことだよね。...だから、気付きにくかったのかもしれないけど」
「でも、気付けたから、それはそれでいいと思うよ」




































ファイナルゲーム
最終遊戯。それは、私達に意味のあるモノを与えてくれた



ゲーム
遊戯をする上で、勝者、敗者が出てくるのは、仕方のないこと



                      ゲーム
......でも、そんなの関係なしに、遊戯に直接ぶつかっていったらいいんだ



勝ったら、喜んで、その勝利を無駄にせず、次に繋げていけばいい



負けたら、反省して、その敗北を無駄にせず、次に繋げていけばいい



           ゲーム
そう、大事なのは、遊戯を終えた、その後なんだ



だって、次があるのだから



ジェンガが崩れたって、また積み上げ直したら、それで、いいんだもん



         ゲーム
だって、新しい遊戯を始めることができるんだよ



崩れたままに、しとくのは、勿体無い話じゃないかな?









































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