初心者をバカにしないで


ルールくらいちゃんと知ってるよ





































































































BALANCE GAME
































































































私にはつい最近、初めて好きな人が出来た。初めて.....人を好きになった。俗に言う『初恋』。その人のことを見ると、胸が躍るようにすごくドキドキして....その人の言葉に嬉しくも悲しくもなったりして.....とにかく私は今まで持ったことのなかった感情を抱くようになった。



最初、私はこの感情が何かが分からなかった。一体なんだろう?と首を傾げても、全然分からない。だって今までにこんな感情抱いたことなかったんだもん。名前すら知らなかった感情なんだもん。



だから、英二に聞いたんだ。この....私の中にある感情は何なのかって.....。そしたら英二が言ったんだ。








「そんなの恋に決まってるじゃん。しかも、はそういうの初めてだから初恋だよ、きっと」








...............恋。それって人を大好きって思う気持ちのことだよね?
うん、確かに好き。あの人のことは好き。でも、も英二も好き。...........けどなんか違う『好き』



こんな気持ちを人は恋と呼ぶのだろうか?



あの人のことを考えるだけで幸せになったり、胸がぎゅーって締め付けられそうになったりすることそれが恋なんだろうか........?



.......................うん、そうかもしれない。きっとこの気持ちを人は恋と呼ぶんだ。.......私、きっと周ちゃんが好きなのかも。



ううん。好きなの。周ちゃんが........。だから、周ちゃんの趣味に自分も挑戦しようと思った。そしたら、周ちゃんのもっと近くに近づけるような気がしたから。だから、写真を撮ることをはじめてみたの。やってみたら、写真を撮ることってすごく楽しいコトだって感じた。自分が綺麗だと思ったものを、カタチに残すのってすごくいいことだよね。それに、見せたら.....周ちゃんに褒めてもらえるし。



恋って不思議なものなんだね。



私にいきなり新しいことをさせたり、退屈や憂鬱を期待や楽しみに変えてしまうのだから。今だってほら、待つという退屈な時間を幸せな時間に変えちゃってる。








「遅い」
「まぁまぁ、。そんな眉間に皺寄せてると戻らなくなるよ?」
「それは困るわ。あたしのビボーが台無しじゃん」
「何それ」








そう今私とは校門前で、周ちゃんと英二を待っているところだ。何故かというと、それは単純に一緒に帰る約束をし、公園近くの喫茶店に寄り道しようということになったから。ただそれだけ。でもそれだけのことがすごく久しぶりで、早く行きたくて私はうずうずしながら二人を待っている。きっと、も私と同じだ。足を地面に鳴らしているのがポイントである。



そんな私の親友の顔は思いっきり眉間に皺が寄った顔だった。どうやら、待つことが極端に嫌いらしい。.......確かにが待つということはあまりしない。きっと性に合わないんだろうねー。あ、ちょっと気づいたんだけど、今のの顔が1組の手塚クンとそっくりかもしれない。どこが?って言われても困るけど、でも似てる。少なくとも私はそう思うよ。だって.......そっくりじゃん。本当に。



で、それに気づいた私は自然に笑えてきた。でも隠そうとはしない。おかしいのはおかしいんだもの。それに、で悪ノリしてくるし。いや、確かには美人だけどさー。それはちゃんと認めるけれど........自分で言っちゃうんだ?あ、言っちゃったね、もう。眉間に皺を寄せていた顔をぱっと戻し、髪をかきあげながらは言う。そんながおかしくて、私、ついこんなにも笑っちゃったよ。








「.........、笑いすぎ」
「だって、がおかしいんだもん」
「あたしのせいじゃなくて、の笑い上戸な性格のせいでしょ。それは」
「そうとも言うけどー」
「あーあ、早く二人来ないかなぁ」








私、の言うとおり笑い上戸だから一度笑うとなかなか笑いが止まらないんだよね。止めようとしても止めらんなくて、それがまたおかしいからさらに笑ってしまう。それもまたおかしいから、余計に笑いが出てくる。だから、これもまたの言うとおり、がおかしいからじゃなくて私の性格に問題があるのかもしれないね。私が笑いすぎなのは。..........そうなるのは私だけなのかな?



なんて思ったのはさておき



まだ二人は来ない。テニス部らしき二年生の男の子が、私たちをちら見して帰っていったというのにあの二人が来る気配はない。二人ってもちろん周ちゃんと英二のことねだから、の眉間に皺が1つ増える。



......やっぱり手塚君に似ている気がする。今のを見たら、そう思うのはきっと私だけじゃないはず。ってか、ー、自分のビボーが台無しになるって自分で言ってなかったっけ?...いや、言ってた。私の耳は自慢じゃないけど、地獄耳だからよく聞こえる。その耳で確かに聞いたから、言ってたことに間違いないでしょう。はい。



まぁ、それは言ってみればどうでもいいことであって、もうこの辺でおいときます。だけど、私もそろそろと同じで待つことに限界を感じてきた。基本的に私も待つことってあんまりしないから、正直少しうんざりしてくる。早く来ないかなぁなんて、言葉に出さないけれど心の中で何回もそう繰り返す。それともう一言、「早く会いたいよ」って。



........それでも、二人はまだ来ない。早く来てくれないと、行く時間なくなっちゃうってば。それに、私門限結構早いから長い時間一緒にいられない。ああ、本当に早く来ないかな。英二と........周ちゃん。



待つのは正直少しうんざりしてくる。それはと同じ。ってか、の方がさらに上をいってるし。眉間の皺が何よりも証拠だよ。



でもね、1つだけと私、違うことがあるの。は待つたびに機嫌が悪くなり、眉間の皺が濃くなっていく。やってらんないよと思ってることなんての顔を見れば、すぐに分かる。だけど、私は待つたびに違うものが溢れてくる。そりゃ、待つコトはやってらんない。やってらんないけど、それでもこの気持ちには勝らない。



これから周ちゃんとまた話せるんだ、また顔を見れるんだ、それが起源であるこれからの期待にそんな気持ちが勝るなんて、地球の自転が逆になってもありえない。



それくらい、私の胸は躍るようにわくわくしてる。好きな人を待つ乙女の気持ちが今なら分かるよ。あと......








「おっそーい!!いつまでこんなカヨワイ女の子を待たすつもりだったのよ?」
「ごめん!これでも急いだんだけどさー....」
「言い訳は無用。周助も周助で英二なんか置いてすぐ私たちのところに来なさいよー」
「そんな.....ヒドイ」
「ごめん。、でもやっぱり見捨てられないというか、ね。...もごめんね?ものすごく待たせちゃって」
「ううん!!そんなことない!それに仕方がないよ。だって周ちゃんたちは部活大変だったんだし」
「ありがとう」








私よりも早く、2人の姿を目でとらえたは不満の入った声を出す。それにつられて、私も気づく。手を顔の前に持っていき謝る英二と相変わらずにこにこと笑っている周ちゃんに。



........さっき言いかけてたことなんだけどね。あと、好きな人がやっと来たことに対する些細な喜びも分かるよってことを言いたかったんだ。



は本当に機嫌が悪くて、英二に少しひどいこと言ってたけど、周ちゃんに無茶苦茶なことを言ってたけど........ 私、反対に機嫌がよくなった。だって.......ちゃんと、ここに来てくれたんだから。周ちゃん。それに一言、私に優しく謝罪の言葉をくれるんだから。.......私に笑顔を向けてくれるんだから



だから待つという無色の気持ちなんて吹っ飛んで、色鮮やかな気持ちに変わる。








「じゃ、行こうか。早くしないといい席取られちゃうし」
「そだね。では出発出発〜♪」
「......英二のテンション今日おかしくない?」
「何言ってんの、。いつも通りだよ?」
、それを言うなら今日もおかしいんだよ」
「ナイス!周助!」
「2人とも酷いにゃー.....」
「英二、私はそのテンションいいと思うよ?こっちまで明るくなれちゃうって感じだし」
だけが俺の支えだよー、本当に」
「あーもう!つべこべ言わず、さっさと歩く!このバカ猫!」








ゴンっといい音を立てて、が英二を叩いた。しかもグーで。それを見て、英二が哀れに見えた。叩かれた頭をさすっていて.....痛々しい。ちょっと同情する。英二大丈夫かなぁ....?なんか、と英二って飼い主と飼い猫って感じだよねぇ。見てて、ちょっと楽しい。けど、英二が本当に哀れなんだけどねっ!!だから、慰めずにはいられないっていうか......。まぁ、一応私、こういう時は英二の味方だからねっ!








?どうかした?」
「え、あ、ううん!ちょっと英二がかわいそうだなぁって同情してただけ!」
「ふふ、そうなんだ。じゃあ、行こう?と英二はもう前に行っちゃったよ」
「わっ、ごめん!周ちゃん!」
「謝ることじゃないよ。さぁ、行こうか」
「うん!!」








それともう1つ、あなたの隣で歩いていてもいいですか?






































































「あたし、髪切ろうかなぁ」
「いきなり何言ってるの?
「だから、髪を切ろうかなぁなんてっ」






喫茶店にて。明日は英語の小テストだから勉強しなきゃとか、もうすぐ大会だから気合を入れて練習しなきゃとか青酢は世界最強の不味さを誇るとか、新しい服が欲しいとか.......などなど。



そんな他愛のない話で盛り上がっていた私たち。注文したミルクティーを片手に持ち、もう片方の手で髪を触りながらが突然こんなことを言い出した。それを聞いて、思わず私は聞き返してしまう。だって、前に「今回は髪伸ばすんだ。」っては意気揚揚と私に言ってたんだもの。だけど、はさっきと同じことを繰り返す。気が変わったのね、きっと。何がの気を変えたのかは分からないけど。



そんなことを思いながら、私も注文したカフェオレを口に運ぶ。口の中で甘さが広がって、いい感じ。カラカラだった喉も潤って、さらに加えていい感じ。



それなのに








「もしかして、失恋した?」








なんて周ちゃんが顔色も変えずにそんなことを言い出すから、私は思いっきりむせた。ゴホゴホという音が重なり合ったから、たぶん英二も私と同じく驚きすぎたんだと思う。



涙目になってることを承知しながら、横目で英二をちらりと見てみると........やっぱりむせてた。ゴホゴホと言いながら大きな咳をし、私以上に苦しそうだ。だから、英二の背中をさすってあげる。やっぱりそれでもむせてたけど、少し経ってから咳も収まり、私とおそろいの涙目で英二が言った。








「何?に好きな人いたんだ?」
「って、何。周助の言葉なんて本気にしないでよ」
「「へ?」」
「だーかーら、アンタ達には冗談も通じないわけ?あたしが失恋ごときで髪を切りたいなんて言うわけないじゃない。」
「ま、図太いもんね。は」
「黙ってらっしゃい。そこは。それに勘違いしないで欲しいんだけど、あたしが髪を切りたいって言ったのはもうすぐ夏だからってこと。それに傷んでるし」
「なるほど〜」








は冷静だった。冷静にさらっと風が吹くように流し、事実を言う。髪を撫でながらミルクティーをまた一口口に運び、平然としている。そして私の横では、英二が納得したようにぽんと手を叩いた。



..........まぁ、確かに冗談と分かっているは私達みたいに驚いてむせることはない。平然としているのも当たり前と言ったら当たり前。



.............でも、私はびっくりした。失恋という言葉じゃなく、にも好きな人がいたということに。いや、人は普通恋をするのが当然といえば当然で決してをバカにしてるわけじゃない。ただ、の口からそんなことを聞いたことがなかったから驚いた、ただそれだけのこと。



私は周ちゃんが好きとに打ち明けたけど、私は.........知らない。の好きな人。知りたくないというわけではないけれど、でもやっぱりが言ってこないから聞かない。はあまり自分の事を聞かれるのが好きじゃないってことは私知ってるもん。だから、聞かない。でも言ってくれた時は心から応援しようと思う。なんせ、親友だからねっ。



そして親友だから少し感じることもある








「そーだ、ねぇ英二。この前聞きたいって言ってた曲あるでしょ?あれのMDあるから貸そうか?」
「マジ!?うん、貸して貸してー!」
「じゃあ、明日もって来るね」
、大好きー。さんきゅーなっ」
「はいはい。その言葉、そっくりそのまま誰かさんにお返しするよ」
「誰?」
「誰かさん。って?どうかした?」
「へっ!?」
「かなり疲れてるように見えたんだけど」
「.......大丈夫?
「ううん!!そんなことないよっ!!」








仲良さげで、どこか明るさを感じると英二の会話。私はぼんやりとそれを聞いていた。何故かって言われると......上品にコーヒーを飲む周ちゃんに見とれていたからであって、決してが私を心配する要素なんてどこにもない。



我に返った私は慌てて否定する。だって疲れるわけなんてないもの。目の前に好きな人がいるのに疲れた顔をしちゃうなんて、絶対にタブーだし。とにかく、私は元気だ。疲れてなんかない、疲れても今目の前にいる人のおかげで回復できるんだから。これが恋の力ってやつね...なんちゃって。



そして感じる、これは直感の部類に入る。今頭の中にふと浮かんだ、ってことは直感ってことだよね。そうだよね?そうと決め付けて話をすすめていくと私の直感じゃ、が英二の言葉をそっくりそのまま返す誰かさんとは.....英二だと思う。



断定は出来ないけれど、きっとそう。、英二に対しては『何か』が違うもん。私と周ちゃんとは違う。『何か』が違う。その『何か』はきっと..........私が持ってるものと同じモノ。



でも、気づかないふりをしとくね。自分では『何か』とはちゃんと分かってるけど、気づかないふりをしとく。それに気づいた時、私はきっと何かを失う。そんな予感がこの胸の奥底から湧き出てくる。



もうこれ以上何も言わないけれど、1つ覚えておいて欲しいことがある。それは、私が恋愛初心者だってこと。初めて人に恋という感情を抱いたまだまだ未熟者。そのことは痛いほど自分がよく知ってる。だけど、私が新しい世界に足を踏み入れたとき今まで見えてこなかったものが見えてきた。理解るようになってきた。








「.............苦しいね、全く。」








それはそれは小さな声で周ちゃんが呟いた。と英二の耳には届かなかっただろうけど、私の耳にはちゃんと届いた。届いた瞬間、即座に周ちゃんの方を見る。周ちゃんは何もなかったように、コーヒーを飲んでいて..........さっきの本当に切なそうな言葉は錯覚だったのかと思えてきた。



だけど、錯覚じゃない。現実だ。現実は痛いほど切なく、錯覚は素敵すぎて一層つらくなる



それを知ってるんだから、初心者だからってバカにしないで。ちゃんと理解してる。理解ってるよ。周ちゃんも私やと同じ『何か』を持っていることくらい。
























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