そんなの........俺も同じだよ
同じゲームに参加する一員なんだからそんなことくらい....
BALANCE GAME
考えれば考えるほど、深い闇に落ちていく。ってか、俺って考えるタイプじゃないじゃん?どちらかというと体を動かすタイプでしょ。だから、考えるのは超苦手。最も苦手といってもいいぐらいだ。
考えてたってどうにもならないし、それだったら行動を起こしたほうが最善の方法じゃんということが俺の意見。考えてても別に大きく変わらない、何かを変えようとするのなら行動を起こしたほうがいいと思うんだ。
..............でも、考えずにはいられないのが現状。俺の頭の中はもうごちゃごちゃで、もう訳分かんない。心の中もぐらぐらで.....何か地面に立っている気がしない気分だ。......ああ、自分で言っててよく分かんない。
この機会だから、1つずつ整理していこうか。
まずその1 は俺が好きなのかということ
後輩である桃から、と不二が部室に入っていったと聞いた俺。何であの2人が?って普通思うじゃん?で、俺もそう思ってしまったわけで7分の好奇心と3分の名前も知らない変な気持ちに動かされ二人を覗きに行ったわけだ。そこで、俺が聞いた事.....耳を疑ってしまうような言葉
「どうしようもなく英二が.......好きなんだもん。」
これはの声。心なしか、どこか震える声はいつもの強気なの声ではないように思えてしまう。その声を聞いて、俺は頭をガンとやられた気がした。その言葉の意味を考えると....実際殴られた方がマシだ。それほど、心の一部分が痛くなってくる。細い鎖で締め付けられているような痛みには苦しさを贈呈される。苦しさなんていらない、楽になりたい。......とすぐに思ってしまう俺はやっぱり軟弱男だと思い知らされる
そして、もしその言葉が聞き間違いじゃなくて.......真実だったとしたのなら.......俺はにそんな思いをさせていたのかもしれない。っていうか、もっと苦しい思いをさせてしまった。そんなこと知らなかったとはいえ、俺は残酷なことを今までしていた。の気持ちを考えず、自分の気持ちばかり打ち明けて、話を聞いてもらって、応援してもらって.........頼ってしまって。
その挙句、の言葉を聞いた後でもが好きだなんてはっきりと言う俺は最悪な奴だ。そうして、に笑顔の仮面をつけさせることをした俺は.......もっと最悪な奴だ。俺が好きなのは....ってことは変えられないけど、それでも俺はを大切な幼馴染だと思ってる。
それなのに、どうして.....どうしてを苦しめることしかしないんだろう?幼馴染だからちゃんと理解ってるって勘違いしてしまったんだろう?俺は、贅沢ばかり言って何もできてない。無力な自分がたまらなく嫌になってくる。力があればいいってもんじゃないと思うけど、ないよりマシだ
あと、少し疑問に湧いてくる。何度も言うけれど、それが真実だったのなら.......俺のことを応援できるのだろうかと、疑問に思う。俺とは同じ立場だけど、俺は....できる自信がないよ。
そりゃ、相談とかされたら頑張れとか言ってるけど、それは上辺だけで.....本心だと言い切れない。応援しなきゃ、とは思うけどやっぱり好きな人に好かれるのは自分でありたいと願ってしまうんだ。『いい友達』でいなきゃとも思うけど、やっぱり......自信がない俺は本当に欲深くて情けないんだ。
だけど、はそんな俺とは違う。だって、は見かけだけじゃなくて本心から俺のことを応援してくれている。心からの頑張れという気持ち、あの華奢な体のどこから湧き出てくるんだろう?その強い気持ちは俺の支えとなって、俺はまだ頑張れると確認させてくれる。
俺を支えきれるような強い気持ちをはどこに秘めているというのか?分からない.......分からないけれど、ただ1つだけ気付いたことはある。そんなは俺のことを.....俺がを大切にしてるよりも大切にしてくれてるって。
「よっぽど心が強いってことだよね。自分の幸せより他人の幸せを選べるってことだから。」
その次 こう言った不二の表情に隠された気持ち
ちなみにこの言葉は、上で述べたようなことを俺が言った後不二が言った言葉だ。きっとこれは心から好きな人を応援できる人について言ってるのだろう。俺のよく知っているあの子のことが思い浮かぶ。
確かに、自分の幸せより他人の幸せを選べる人の心は強いと思う。他人の幸せも願う、けれど自分の幸せの方が数倍願ってしまう俺にとっては、すごいと感心する。好きな人の幸せを一番に願うって前に言ってた俺だけど、本当は.....違うんだ。そこまでいい奴じゃないんだ。
自分が損をしてでも、他人の幸せを祈ることはどれだけ難しいことなんだろうね?きっと.......すごく難しいはずだよね。
そんな難しいことをするのに、どれだけ自分の気持ちを押し殺して、どれだけ苦しい思いをしなきゃいけないんだろう?自分を犠牲にしてまで、他人の幸せを愛でようとする人間は心が強い。そして、優しい人。その優しさを持つには強い器が必要である。
そう言ったときの不二の表情、目を閉じて微笑を浮かべたその表情の裏にはきっと何かがある。不二の瞳の色は分からないけれど扇形の長い睫毛がその何かを塞いだ反動で、口元から何かが零れ落ちる。その何かは名前をはっきりとは知らないから言えないけれど、それでもそこに何も無くは絶対無い。形じゃない何かは俺の頭の片隅を侵食していってる。
冷たい痛みは、優しく刺激を与え、それがまた痛い。どうせなら優しくなくてもいい。むしろ、優しくしないでって感じだよ。
俺は何らかの形で不二に苦しみを与えている....ような予感がする。俺の無神経が刃となって、不二の中の何かを切り裂いてる....そんな感じがする。だから、不二は俺の瞳を真っ直ぐに見てくれないんだ。俺が不二の顔を覗き込んで見ても、不二の瞳は俺を見てくれていない。まるでどこか遠い処を見ている様。途方も無い願いを抱えて、星を見上げる。流れ星に願い事を三度も言うことができず、ただもう願いを諦めて、星を見上げる感じ。
叶わない願いを願っても悲しくなるだけで、一層願ったことを後悔してしまうこともある
「............私...少し直感が良くなったよ。きっと。」
そして、最後に こう言ったの涙の理由
俺ととの三人しかいないこの教室の中で、今は綺麗な瞳から綺麗な涙を拭い続けている。とめどなく溢れてくる涙と共にこんな言葉まで溢したは、今にも壊れんばかりの勢いの儚さを持つ。........が涙を流す理由は分からないけれど、涙が出てくるということはの中で感情が爆発したってことなのかもしれない。
カウントダウンなしに爆発してしまった感情の中に埋もれているの辛さは....かなりのものかもしれない。その中でどうしようもできず、ただ突っ立っていることしかできないの気持ちは.....結構分かるつもりだ。ってか理解ってあげたいよ。
そして、が涙と溢した言葉の意味を考えてみると....は何かに気がついたに違いない。それは何?とは聞けないけれど、無茶苦茶気になるのが人間の本能。人間は何か分からないものを知りたいと思う動物であるからだ。俺はの気付いたことは何かと考える。思い当たるものは......
3つある......ような気だけがする。1つは不二の気持ち、2つめはの気持ち、3つめは...俺の気持ち。
でも、そんなことを考えているよりもまず俺はに何かをしてあげたいと思った。好きな子が泣いているのに力になれないなんて......そんなの絶対に嫌だから。かと言って何もできない俺が嫌で嫌でたまらなくなってくる。ただ、見ていることしか出来ないなんて....もどかしい気持ちが俺の中を駆け巡る。
何をしたらいいんだろう、どんな言葉をかけたらいいんだろうとかバカとしかいえないことばかり俺が考えている間も、の心の泉は枯れることを知らない。次から次へと涙を流し、それを何回も拭っているは、感情に誠実な子だから.......嬉しいから笑って、悲しいから泣くような子が泣いてるということは、悲しい思いをしているんだ。
その悲しみはきっと....俺には拭えないようなもの。アイツじゃなきゃ......きっとダメなんだ。だけど、何度も言うけれど俺は何かをしてあげたい。見ているだけじゃ、嫌なんだ。アイツに敵わないことは分かってる、それでも何かが出来たならと自惚れてしまう俺は愚かだろうか。
......ああ、もうこの際愚かだろうが、どうでもいい。
壊れそうな君を..........抱きしめたい。
「英二....耳貸して....」
「.....何だよ?」
「いーから」
「........うん」
そんなことを思っていたら、俺の横で一緒に泣いてるを見ていたが俺の服の袖を引っ張った。何事かと思えば、耳を貸せとの合図ということ。こんな時に何だろうとか思ったけど、の強い口調に促され、俺はに耳を貸した。
そして俺に何かを告げ、俺に向かってニッコリと笑ってはに近づいた。泣いてるの頭を優しく撫で、優しく微笑みかけるはやはり強い.....俺にそんな言葉をかけられるは.....本当に強い。
「、何があったの?」
「.....っ、....」
「あー、言わなくていいから。とにかく泣き止みなって」
「で、でも涙が止まんない.....よお」
「うん、無理にとめなくていいよ。でも、1つ言っとく」
「?」
「泣いた後にはちゃんと笑ってよ。いつものみたいに」
そう言って、ぽんぽんと2回の頭を優しく叩いたは、に背を向けて俺と向き合う形になる。そして、にっと笑って俺の方を叩きながら、は教室のドアへと足を向ける。一言だけ、俺に言葉を残して教室から出て行くの後ろ姿は小刻みに震えているように見え、追いかけたいという衝動にも駆られたけれど、深呼吸をすることでそれをぐっと堪えた。
だって、はそう言ったんじゃない。それにあのの頼みを無視することも出来ない。そう言ったの気持ちを踏みにじっちゃいけない。
『.....抱きしめたいのなら抱きしめてやりなよ。』
『 頑 張 っ て 、 菊 丸 王 子 。 愛 し の 姫 が 泣 い て る よ ?』
............ごめん、。
そして、本当にごめん.......。
「.......え......い....じ?」
「お願いだから今だけ、こうさせて!一生のお願い!!」
「ど、どうして?え、英二。私が」
「お願い!頼むから、それ以上言わないで」
「......どうした、の?」
「....お願いだから、これ以上1人で泣かないでよ」
あのとき思った気持ちは今もこの胸の中に潜んでる。『いい友達でいなきゃ!』とか『応援しなきゃ!』とか『幸せになってもらわなきゃ!』とか
ちゃんと、それは分かってるから
せめて今だけ君の代理の王子を演じさせて
「.........俺を、こんな気持ちにさせないで」
今だけ、君の細い体を守らせて
俺の腕は傷ついたって構わないから......
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