あたしは女だから突っ張っても勲章もらえないの?



........でも、いいよ



違う方法でもらうから
















































































BALANCE GAME
ANOTHER STORY

女の勲章授賞式













































































好きです、と。伝えたあたしのこの気持ち。アナタには伝わらなかったけれど、伝えて後悔はしてないよ。悲しいけれど、こんな恋なんてしなきゃよかったなんて思わない



むしろ、アナタに会わせてくれてありがとうと心から神様に感謝してる



だから、今だけ泣かせてね?悲しいときは思いっきり泣けってよく人は口をそろえて言うもんね。今、あたしはアナタにこの想いが伝わらなくて悲しいと心の底から思うから泣かせてね?すぐに泣き止むからさ








「..........っ....先輩〜.....」








青春学園中等部2年8組、



たった今ずっと好きだった憧れの先輩に告白して、見事玉砕しました.....え?よくそんな簡単に言えるなって?しょうがないじゃん。本当のことなんだもん....そりゃ、自分で言ってて悲しくなるけれど



それでも遠回しの表現とか使うのは嫌。そんな技術を持ち合わせてもいないし、ね。ってか、何でわざわざ遠回りしなきゃいけないの?体力なしのあたしは近道を選ぶから



.......まぁ、それはおいといて。今、あたしが何をしているのかというとお願いしたとおり泣かせて頂いていて。廊下の隅の隅で丸まっております。だって邪魔になるでしょう?通行人の邪魔しちゃ悪いしね。なーんて、嘘です。それは建て前で、本当は人に見られたくないからです。ただでさえこんな顔なのに、今の顔は....とてもじゃないですが人の前で見せる顔じゃないです



あたし、いつも阿保ばっかりやってます。英語とか、何で日本人が勉強しなきゃいけないのと普通に思いますし。最近までオーストラリアとオーストリアの区別がつきませんでした。他人から見たらどうしようもない奴かもしれませんが



そんな奴でも、1人で泣きたいときってあるんです。そんな奴でも........本気で恋したんです。ただ実らなかっただけで、今までにないってくらい彼に恋してたんです



だって....恋することは自然の規則でしょう?その規則に従っただけです、あたしは。.....まぁ、恋した相手が高嶺の花すぎたということは問題ありでしたが








「......っく........」








ああ、どうしよう



きっといつか止まるだろうけど、今は涙が次々と溢れて止まんない。恋といえるのか分からないけれど、自分が恋だと言い張るから間違いないです。こんなにも彼が好きだったんだと改めて岩が落とされたように実感させられたから。あたしはこんなにも彼が好きだったのでしょう



......うん、好きよ?見ているだけじゃ物足りないくらい彼が好きよ?玉砕した今でも...好きよ?好きだった、と過去形になんて出来ないくらい....大好きよ...?



あたしはこんなにも彼が好きなのに、彼の好きな人はあたしじゃない。たったそれだけのことが、すごく、すごく悲しくて。ついあたしは涙を流してしまっているけれど.........言っとくけど、まだ彼への気持ちを諦めたわけではないからね



玉砕したって一口に言っても、残念ながら諦めきれるような簡単な気持ちで想ってた訳じゃない。諦めれるのなら、諦めてるよ。とっくの昔に。諦めきれないから、好き。好きだから、諦めきれないんだよ.....








「どうしたの?気分悪いんなら、保健室行った方がいいよ」








ふと、いきなり回りが暗くなったように思えたかと思うと上から言葉が降ってきた。急いで涙だけでもふき取って、哀れにも何ともいえない顔で上を見上げる。今まで目を瞑ってたせいか明るさに目が慣れるのに少し時間を要した。しばらくぼやーとした視界が広がっていて、そしてぱっと視界が明るくなる



誰かがあたしを見下ろしてる.....。あたしの目の前に立っているのは...女の人。スカートはいてるもんね。でも、逆光のおかげで顔がよく見えないよ



そう思いよく見ようとして、あたしは目を細めた



あ.............見えた



心配そうな表情を浮かべる女の人



しかも.....この人








あたし、知ってるよ








「え、そんなに具合悪いの?」

「い、いや!全然元気です!!」

「そう...それならいいんだけどね。気分悪そうに蹲ってたからしんどいのかなぁって..」

「わっ、ごめんなさい!余計な心配させちゃって」

「別にアナタが謝る必要はどこにもないわ」








ふふっと笑う、お姉さんオーラを漂わせているこの人。あたし、知ってる。というより、知らないわけがない。だって、この人すごく有名だもん。この学校で知らない人はいないんじゃない?

明るくて人懐っこい菊丸先輩、可愛らしくてほのぼのした先輩。あたしが好きで溜まらない彼と、そして今目の前にいる女子生徒の憧れの的、先輩。その方たちが噂の36グループである



実はあたしの憧れの先輩でもある先輩。その方が目の前にいるなんて....驚きだぁ。驚いて...間抜けな声しか出てこない








「は、はぁ...」

「それより....アナタ2年?どっかで見たことある...」

「えっと、はい!です!」

「......そっか。ちなみにあたし、3年のっていうんだけどね」

「あ、知ってますよ。先輩、有名ですもん」

「何で?」

「...有名だからじゃないですか?」

「そっか」

「はい」








......先輩をこんなに近くで見たの、初めてだったりするあたし。手入れをこまめにやってるんだろうなぁと思われる綺麗な肌、ぱっちりとした目......だけど、浮かべる表情はいつもの先輩とは違うのは気のせいかなぁ?先輩がいつも漂わせる、あのどこから沸いてくるんだろうという自信オーラっていうの...キラキラ輝いてるあの表情が、今は薄れてる。そんな感じがする。でも...笑顔は普通って言うか、本当に心から笑っている笑顔なんだけどね








「で、時にさん」

「はい?」

「何かあったの?」

「.......きゃー、直球ですねぇ」

「あたし、繊細な心もってないから遠回しにいえないんだよねー」

「でも、あたしだって遠回しより直球の方が好きですよ?」

「そう?そーいえば、あたしと同じ匂いがする」

「あたしにはそんなカリスマ性ないですよ」

「いや、あたしのそういう直感は当たるから。ってそれより、話反れたけどどうかした?」

「.....どうかしてないとは言えませんね」

「だよね。だって、いかにもさっきまで泣いてましたって顔してるもん」

「え!ブサイクだから、あまり見ないで下さいね!」

「.......何で?」

「いや、だからブサイクなんで」

「可愛いじゃん。コロコロ変わるさんの表情」








......先輩、あたしのこういう直感も当たるんですよ



先輩はやっぱりあたしが憧れるだけある、素敵な人.....。あたしがブサイクだって言って見せたくなかった泣いた後の顔。でも、先輩は可愛いといってくれた。別に自分の顔が可愛いといってるんじゃないのは知ってる



だけど、ね。先輩は、泣いた後の顔じゃなくて今のあたしの顔を見てくれてる。.....ちょっと他人には分からないことかもしれない、でもいいの。あたしが分かってればそれでいいんだからさ



で、ときに先輩、アナタはあたしに『どうかした?』と尋ねましたよね?アナタは聞いてくれるという風に、あたしは解釈します。だから...『どうかした?』の『どうか』の部分を答えましょう



あたし......








「失恋しました」

「うわぁ、これまた直球だね」

「え、でも先輩も直球の方が好きでしょう?」

「うん」

「ほら、即答」








あたしがそう言うと、先輩はただにこっと笑った。美人だなぁと改めてそう思う、そんな笑顔の作り方を教えて欲しいとも思うね。....憧れる、やっぱり


そして、先輩はこう言った








「じゃ、新しい人見つけなきゃね」

「えー...?」

「何、もしかしてもう恋するのは嫌とか思ってるの?ま、乙女心は繊細」

「違いますよ」

「?だったら、何」

「あたし、まだその人のことが好きだってコトですよ」

「へぇ....」

「...簡単に諦めきれる気持ちで思ってたわけじゃないですし、それに....」

「それに?」

「あたし、まだ頑張れますもん」

「....若いわね」

「先輩だってあたしと1つしか変わらないじゃないですか」








不思議



とっても不思議



あたしは前から先輩のこと知ってたけど、先輩はあたしのことをきっと知らなかっただろう。ということは全くの他人、そんな他人にここまで心を開いて話し掛けてくれる先輩



不思議な人だと思う



そして、初めて喋る人に失恋したと暴露できるあたしもあたしで不思議だ。憧れだった先輩とこうやって笑ってる、それも不思議。もう、不思議フルコースじゃないの。でも....そのフルコースは嫌じゃなくて心地良い涙ももう乾いたし、あたしの心の空を覆う雲がしだいに.........太陽の光を遮れなくなってきた








「あたし、さんみたいな人好きよ」

「こ、告白ですか?」

「別にそうとってもいいけど?」

「先輩...」

「あはは、冗談冗談。好きの意味はいっぱいあるけど、あたしが今言ったのは...」

「?」

「ラブじゃなくてリスペクトの意味で、かな」

「りすぺくと...?」

「尊敬って意味だよ」

「....え....」








英語全くダメなあたしに先輩は教えてくれた、りすぺくとは尊敬という意味だということ。尊敬...ってあたしを?あたしの憧れの先輩が.....?嬉しいような、それでもそれはおかしいようなの気持ちが勝るあたしの心情



だって先輩はあたしにはないものを、そしてあたしが欲しいと思ってるのを全部持ってる。尊敬なんて、あたしが先輩にする行為。先輩が平凡なあたしにする行為じゃないと思う



             かお
だけど、今の先輩の表情



                   かお
..........とっても優しい表情してる








「ステキだよ。今のさん。そうだよね、フラれたからって簡単に諦めれるわけないもんね」

「少なくともあたしはそうですけど....ステキですか?」

「うん、とってもステキ。フラレても、人を真っ直ぐ好きだっていえるのとってもステキ」

「.....えっと....」

さんはとてもいい人を好きになって、また1から頑張ろうと思ってる。涙を流しきって前に歩みだそうとしてるんだね」

「そんな大層なことはしてませんよ?」

「それでもあたしはすごいと思う。もうさんに勲章あげたいくらい」

「えー、そんな。ちなみに勲章ってどんな勲章ですか?」

「いい恋をしてるで賞」

「.....何か微妙ですね」

「嘘っ?!」

「でも、先輩からもらえると思うとすごく嬉しいですっ」








いい恋をしてるで賞



そうでしょう?あたしも自分でそう思います。だってあたし、いい恋してますもん。いい人を好きになって、いい人に思いを伝えた。ただ結果は上手くいかなかったけど、それでも好きになって良かったと心から思える恋をして良かった



そんな恋が出来たのは、あの人がいたから.....



そんな恋をさせてくれたあの人のことを好きでいられずにはいられない







それに、失恋という字 恋を失ったって書くけど...それ本当?








あたし、失恋したけどまだ恋心はちゃんとこの胸の中にあるよ。まだ失ってない ココに存在し続ける。恋が叶わなかった、ただそれだけ
さっき
今フラれちゃった、ただそれだけ




でもこれからは分かんないでしょ。明日やその先、未来は.....変わるかもしれないよ?自分自身の手で........変えれるかも.....しれないよ?





そんな自信を持たせてくれたのは、あたしの尊敬してる人



アナタです、先輩



アナタがあたしにいい恋をしましたで賞という勲章をくれたからあたしはそれに誇りを持って、この恋が尽きるまで貫くことを誓いましょう


あたしは何もアナタに与えてあげることはできないけれど、それでも、感謝の気持ちをアナタに伝えたいです








「先輩、ありがとうございます!」

「あたし、あんまり大したこと言ってないんだけど」

「いえ。先輩のおかげであたし...もっと頑張れますよ」

「え、だからあたし、さんに何かしてあげた?」

「......いい恋をしましたで賞くれたじゃないですかー」

「あ、それね。そっか....頑張ってね!」

「はい!あたし、今からこの恋の持続宣言してきます!」








いい恋をしたあたし。そんなあたしに自信をくれた人にも感謝しきれないくらい感謝してる



だけど、その感謝の気持ちと同じくらい、いい恋をさせてくれたあの人にも伝えたいんだ


















































































あの人















































































テニスコートで華麗にプレイする彼に一目惚れしてから




楽しい毎日を過ごせました










本当に感謝してるんです































































「...........ぱいっ!!」

































































アナタにはあたしの気持ち、迷惑かもしれません



っていうか迷惑でしょう 



分かってるくせに迷惑をかけようと思うあたしは、本当にどうかしてる



それでも......






























































「..........先輩!!!」





























































どうしても、かけちゃうんです



好きだから



理由はたったそれだけだけど、かけちゃうんです



本当に申し訳ないです



感謝の気持ちとその気持ちもアナタに伝えたい































































「不二周助先輩!!!」





































































名前を呼ばれた本人は、後ろを振り向いた。さらさらの髪を靡かせて。かすかに目を開いて。立ち止まって



あたしを見た








「君はさっきの.....」

です。先輩、さっきはすみませんでした!」

「え、いやそんなことないよ」

「それでも、あたし。先輩に言っておきたいことがありまして....」

「何?」

「あたし、先輩に謝らなきゃいけないんです。それに...感謝してるんです」

「.....へ....?」

「まずは謝罪から。本当にごめんなさい。あたし、フラれたけど先輩のことまだ好きなんです。迷惑ですけど、こればかりは譲れません」

「あ...うん...。でも、それは僕の決めることじゃくて君の決めることだし...ね」








困ったように、それでもあたしに優しく笑いかける不二先輩。やっぱりあたしは、アナタが好き。心の中では困りきっているのに、優しく笑いかけてくれるその優しさ



アナタを好きになった理由の1つです



めちゃくちゃなことを言ってるあたしを....寛大に見てくれてるその眼差し。ああ、やっぱりさっきの言葉どおりあたしはアナタのことを諦めることはできません










そして











「ありがとうございました。先輩」

「...僕、何もしてないんだけど....」

「いいえ。先輩はあたしによくしてくれました」

「....え....。」

「あたしにいい恋をさせてくれました。あたし、先輩を好きになってよかったです」








ありがとうございます



感謝の気持ちで涙が溢れそう、だけどそれよりも言葉でアナタに感謝の気持ちを伝えたい



何度、好きですと並べても足りないのと同じくらいに



何度、ありがとうございますと並べても全然足りないよ





それでも言いたいから言います



ありがとうございます









「......えっと、さんだっけ...?」







ふっと、柔らかい微笑みを口元から溢す先輩。あたしがドキッとしたのは言うまでもなく、これもまた言うまでもなく綺麗な微笑み。その微笑みであたしの心は満たされる、なんていうのは寒い表現かもしれない



でも....あながち嘘じゃないかもしんない



あたしが『はい、そうです。』と言うと、先輩はあたしの肩にそっと手をおいた。温かい手 きっと心の中も温かいんだろう。華奢な身体にしては大きい手 やっぱり男の人は男の人



そして、こう言った














「......ありがとう」














そう言って、先輩は「じゃあ、僕行くね。....気をつけて帰りなよ」と優しい言葉を言い残し先輩は去っていった。その後ろ姿は、何だか寂しく思える



それでも、先輩を見ると何故かあの人が連想できるよ



........残りの2人はよく知らないけれど、きっとすごいんだろうね








「......ありがとうか...。返されちゃったよ」







ははっと1人で笑い、独り言を言う。独り言は1人で言うから独り言って言うんだよね?



とにかく、あたし



........頑張るよ



諦めきれないあたしが悪いから、何があっても頑張るよ



砕けるまで当たってやる。そして美しく砕け散って見せようか



......最ももう砕け散ってるのかもしんないけど



そこは.....えっと、そうだ



細かく砕けて、これ以上砕くことが出来ないって言うくらいまで頑張る



.....怖いもの知らずか、お前って言いたい人もいるかもしれない



ふふ、もっと言ってよ。あたし、怖いものなんてないから



                          かわらない
砕けるのが怖い?怖がってばかりじゃ、何も革命できない



もし、これ以上砕くことが出来ないって言うくらいまで砕け散っちゃったとしたら



.......それは、その時







「...........お疲れ。よく頑張ったじゃん」

「.....まだまだよ。あたし、もっと頑張るもの」







その砕け散った砂を集めてくれる人を探すのみ、なんてね



























BACK