「どうぞよろしくお願いします!!師匠!!」
「おっしゃ!!俺に任せとき!!」




こんな話になったのは
こんな事情があってのこと。

























悩 め る 副 会 長 と 悟 り の 男  

































太陽はこんなににこやかなのに
雲はこんなに気持ちよさそうに流れているのに
鳥はこんなに可愛らしい声で囀っているのに
青葉はこんなに瑞々しく風に揺れているのに



それなのにどうしてかな?



どうしてあたし、1人で生徒会室にいるのかな?





「あんの生徒会長様、どーしていつもめんどくさい事をあたしに押し付けるかなぁ〜?」






生徒会メンバーは全員で5人
書記の方は今日学校を休みだとかで、ここにはいない。
もう1人の書記の方は、今日病院へ行かなきゃいけないとかで、上に同じく。
会計の方は試合間近で、部活を優先なさっていてまた上に同じく。


そしてあの生徒会長、跡部景吾様は
あたしに球技大会の企画書を押し付けて、さっさと部活へ行っちゃいましたとさ。


そんなわけであたし、氷帝学園生徒会副会長
ちょっと言わせて欲しいことがあります。


今日来てくださっていない、先輩方4名様。
年下のあたしが何故そんな重要なコトをしなきゃいけないんですかという質問は一切致しません。
年下だからこそ、めんどくさいことを押し付けられることも百の承知済みでございます。
それに、皆様は帰宅部のあたしと違ってお忙しい方々ばかりだと言うことも知っています。


この通り、あたしはちゃんと分かっております。
分かっておりますけれども、全部あたしに任せて、全然生徒会室に訪れてくれないということは





やる気がないととってもよろしいですよね?







「...........で、1-1はサッカーかバスケットボールでクラスが2つに割れてるから決めてないって?....あたし、そんなの知らないし!!!っていうか決めろよ!!








そして一番上の欄にある1-1のクラスの報告書。
まだ、決めてないって何事ですか?


三日前までに決めとけと言わなかったでしょーか、あたし。
言いましたよね?1-1の学級委員さん。



それなのに、クラスが割れてるって....。


そんなので割れるな 1-1






「はぁ〜....やる気なくなったよぉー。」






コテンと
やる気をなくした、いやもともとやる気なんてなかったからその表現はおかしいんだけど
とりあえず、やる気を全く所持してないあたしは机の上に頭を乗っけてみる。
机ってひんやりとしてて気持ちいい。思わず寝ちゃいそうだよ。




......でも、このプリントがある限り寝れないんだけど!




1-1が種目を決めてくれなきゃ、決められないんだけど!




...っていうか、1-2もバスケと野球でもめてるってなんですか、それ!






「.........はぁ......もう嫌。」





.......わぁ、プリントに書かれてる字が大きく見えるよ。
あたしってこんなに目が良かったっけ。
っていうか、こんなに間近で見たら大きく見えるのも当たり前だよねー。





なんて、どこかに飛んでいきたい気持ちで思っていたのもつかの間




バンといきなり生徒会室のドアが開いた。
何事かと思い、あたしは頭を上げてそのドアの方を向いた。
.....誰かがひょっこりとドアから顔出してる。




「ちょっと失礼するで〜。」
「え、どうなさったんですか?」




......ああ、知ってる。ドアからひょっこり顔をだしてる人。
会長と同じ部活で、しかも会長に負けないくらい女の子に人気がある
そして、こんな超関東(あたし用語)にあるうちの学校で関西弁を喋る人と言えば、この人しか思い浮かばないでしょう。



忍足侑士先輩しか。






「ここに跡部おるー?............誰もおらんみたいやな。
あたしの存在はシカトですか。先輩。
「ああ、おったんか。
跡部のパシリ兼副会長のちゃん。」
「それは、嫌味ととってもいいですよね?忍足先輩。」
「俺、そんなつもりないで?本当のこと言っただけやし。」
「そうなんですか?ですが、あたし会長のパシリになった覚えはありません。」
「え、そうやったん?俺はてっきりパシリやと」
あたしは一応この学園の副会長でございます。」
「そんなん知ってるって。この学園の生徒なら誰でもな。」
「じゃあ、どうしてパシリを強調するんですか?」
「そんなんみんな言ってんで?しかもパシリなんかまだ可愛いほうや。俺の友達なんか跡部の下僕とか酷いこと言ってるし。」
何ですか!それ!






テンポ良く弾む永遠に続きそうなこの会話。
....何だか自然に笑顔になっちゃいますね、はい。
怒りで顔が引きつって。



...だって、さっきからパシリパシリって。
連呼しすぎ+強調しすぎですよ、忍足先輩。
いつからあたしが会長のパシリになったと仰るのですか。




あたしは副会長。
そして




誰が、会長のパシリなんて思うのです?
しかも下僕なんてもってのほかじゃないですか!


..........まぁ、それも事実じゃないなんてきっぱりと否定することは出来ませんが。
確かにはたから見たら、あたしは会長のパシリに見えるかもしれませんが。
っていうかそうですが。




ちゃん、すごい顔になってるで?」
「ほっといて下さい。あたし、まだ仕事あるんで。」
「.......また、押し付けられたんか。」
それを言わないで下さいよー!!





そんなきっぱりと言わなくてもいいぢゃないですか。
ぐさっと来ましたよ、ぐさっと。太い矢が。
.........忍足先輩、絶対あたしをからかって楽しんでいらっしゃる。



ああ、悲し。
あたしは悲劇のヒロイン....
っていうのはおおげさで
言ってるあたしも恥ずかしくなってきたから、それは冗談としておいてやって下さいな。



でも.....あたしはいつになったら
会長のパシリから解放されるのでしょうか?






「ごめんごめん。ちょっとからかいすぎたな。」
「.....そんなこと思ってないくせに。」
「ほんまやって。じゃあ、その証拠にしゃーないから教えたるわ!」
「......何をですか?」




本当か冗談かはおいといて、一応あたしをからかいすぎたと思ってらっしゃる忍足先輩。
やっぱり忍足先輩も人間の心を持っていたらしい。...なんて思うのは失礼だから取り消しね。
じゃあ、最初から言うなって話。....なんていうツッコミは不要ですよ。



まぁそんなのはどうでもよくて、忍足先輩が意味ありげな微笑みを浮かべてあたしにそう言った。
それはそれは素敵な素敵な笑顔。たぶん忍足先輩ファンの女の子が見たら、絶対に壁をぶち壊すくらいの素敵さ。
.....ものを壊すのはよくありませんが。


あ、もちろん何か裏がありそうなんて純粋なあたしはそんなことは思いませんよ。
そんなことちっとも頭を掠っておりません。



さて、忍足先輩
アナタはあたしに何を教えてくれようとしているのでしょーか?






「それはー....ってやっぱやめようかなー。」
典型的な焦らし方をするのはやめてほしいんですけどっ。
「ああ、ごめんごめん。じゃあ、言うで?」
「(最初っから言えばいいんですよ。)はい、お願いします。」





早く言って下さい。忍足先輩。
そんなの....気になるじゃないですか。
あたし、そういうの本当に気になるタイプなんだってば。


ほら、早く。あたしをじらさないで下さい。
今のあたしは爆発10秒前。


さぁさぁ、教えてくださいな?
........何かヤクザみたい...。
よくドラマでこういう風に人を脅すヤクザって見るよねぇ..。



でもそれは気にしない気にしない。







それより、忍足先輩の言葉を気にしましょう。
さて、忍足先輩はどんな言葉を発するんでしょうね?







「とりあえず男に女としてみてもらえる方法。」










◇◆◇◆◇◆◇◆
















それが3秒前の話。
そして、今。


「どうぞよろしくお願いします!!師匠!!」

「おっしゃ!!俺に任せとき!!」





ということになったのです。





だって、会長にせめて女としてみてもらいたいあたしにとってはその一言。
本当に本当に天のお声かと思えますし。思えましたし。



そしてそんなことを教えてくださるという忍足先輩。



ごめんなさい。あたし、
正直そんないい人だなんて思っていませんでした。
それを今お詫びします。
本当にスミマセンでした。本当に反省しております。
こんな愚か者のあたしをお許しください。




これからアナタのことを師匠って呼んでもいいですか?





「じゃ、跡部にパシリとしか思われてへん哀れなちゃんに、俺忍足の特別授業の始まり始まり。」
「..........長くありませんか?それに、同情はいりません。」
「そんなこと気にしたら負けやで。」





......分かりました。気にしません。
とてもアナタの言葉で不快になりましたが、それも気にしないことにします。




ではさっそく始めましょう。


ここ、生徒会室。
生徒はあたしで、先生は忍足先輩こと師匠。

師匠曰く『
跡部にパシリとしか思われてへん哀れなちゃんに、俺忍足の特別授業』の始まりです。













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