「俺が以前から買いだめていた大量のチョコが姿を消した。食べたヤツは正直に手ェ上げろ。今なら4分の3殺しで許してやる」
ある日、いきなり何を言い出すかと思ったら、銀さんはこんなことを言い出した。っていうか、顔が本気(本気と書いてマジと読もう)だよ。殺気満々じゃないですか。それにしても本当甘党だよね(新八君から聞いた)チョコ取られただけでいい大人が...。いや、あたしじゃないからね。チョコ取ったの。あたし、むしろ辛党だからね。カレーの辛さは苦手だけど、唐辛子の辛さは結構強いからね
「4分の3ってほとんど死んでんじゃないスか。っていうか、アンタいい加減にしないとホント糖尿になりますよ」
「え、そうなの?銀さーん、そりゃ姿消しても良かったんじゃないですか?」
「うるせー!俺は好きなモン食って短く太く生きていくんだよ!つーか、誰だ!?早く手ェ挙げろ!早く挙げねーと4分の4殺しにするぞ!」
「「いや、それ死んでるから」」
新八君が冷静にお茶をずずっと飲みながら、銀さんに忠告する。え、銀さんって糖尿の気があったの?と知ったあたしが銀さんにちょこっと意見すると、思いっきり怒鳴られた(目が本気で本気だよ)相当銀さんはご立腹のようだ。あーあ、どうするよと思ってふと何気なく神楽ちゃんの方を見てみると、神楽ちゃんは新聞を読んでいた。...って、鼻から出てるものは何ですか?
「またも狙われた大使館。連続爆破テロ強行続く...物騒な世の中アルな〜。私恐いヨ、パピー。マミー」
神楽ちゃんがそう言ってる間も、ダラダラと鼻から流れている血を見てあたし達3人は固まった。そして確信する。犯人はコイツだと。...ってか、ティッシュティッシュ!女の子が鼻から血ィ流したままでいたらいけないでしょ
「恐いのはオメーだよ。幸せそーに鼻血たらしやがって。うまかったか、俺のチョコは?」
「チョコ食べて鼻血なんてそんなベタな〜」
「いや、ベタなことがありえちゃってるからね。はい、ティッ」
「とぼけんなァァ!!鼻血から糖分の匂いがプンプンすんぞ!!」
「バカ言うな。ちょっと鼻ク」
「あああ女の子がそんなこと言っちゃダメだって!」
「年頃の娘がそんなに深追いするわけねーだろ」
「何で先読めちゃってるの!ってか、落ち着いて銀さん!」
「定年間際の刑事かお前は!!」
「喩えがわかんねーよ!!っていうかおちつけ!!」
ますますヒートアップしていく銀さんを新八君が後ろから止めに入り、あたしは神楽ちゃんの鼻にティッシュを押し当てて、とりあえず血が流れるのを防ごうとした。ってか、神楽ちゃん。バレてるのに何でそんな飄々としてられるのさ。と、思ったその時
ドカン
「!?」
外でものすごく大きな音がした。銀さんは神楽ちゃんに怒鳴るのをやめて、外の様子を見ようと玄関の方に行く。あたし達3人もそれに続いた
「なんだなんだ、オイ」
そして、2階から下を見るとバイクが下のお登勢さんの店に突っ込んでいた。バイクのすぐ近くには男の人が倒れており、手紙が数通地面に散らばっている
「くらあああああ!!」
「!」
「え、お登勢さん?!」
ギャラリーも相当集まってきて、がやがやとざわめきが大きくなる中、お登勢さんが店の中から出てきて、一目散に倒れている男の人の胸倉を掴んで「ワレェェェェェ!!人の店に何してくれとんじゃアア!!」と怒りに満ちた声を辺りに響かせたので、こりゃマズイと思ってあたし達は階段を急いで降りた。お登勢さんは今にも男の人に殴りかかろうとしている
「よっしゃ!!今、永遠に眠らしたらァァ!!」
「お登勢さん、怪我人相手にそんな!!」
あたしはとりあえずお登勢さんの今にも殴りかからんとしている手を止め、新八君は男の人のところに「大丈夫ですか」と駆け寄っていった。神楽ちゃんと銀さんも男の人の近くに寄っていく。あたしはお登勢さんが手を下ろして、はあとため息をつき腕を組んだのを見て、もう大丈夫だなととりあえず安心した。男の人の怪我の具合を見ていた新八君が口を開く
「...こりゃひどいや。神楽ちゃん、救急車呼んで」
「救急車ャャァアア!!」
「誰がそんな原始的な呼び方しろっつったよ。おい、。ババアの店の電話使って救急車呼べ」
「あ、はい!」
あたしは銀さんに言われたので(そりゃ神楽ちゃんの呼び方で救急車が来るわけがない)あたしはお登勢さんの店に入り、電話を取った。......あれ?110だっけ?それとも117...いや、それは天気予報だ。何だっけ...あ、そうだ。119だ
「はい、ご用件は何でしょうか?」
「あの、すみません。つい先程、かぶき町のスナックお登勢にバイクが突っ込みまして。バイクに乗ってた男の人が重傷を負ったみたいなんで救急車お願いします」
あたしがそれだけ言って電話を切り、また外へ出ると、男の人はもう気を失っていて、銀さん、神楽ちゃん、新八君の3人は無言で突っ立っていた。銀さんは何か小包を手に持っている
「どうしたんですか?」
「いや、それが...この荷物届けなきゃいけないっぽいんですよね」
第ニ訓 トラブルに巻き込まれる人間は大体決まっている
今、あたし達の前には大きくて立派な建物がある。あたしは見上げながら、こんなでかい建物見たことないよと軽く感動していた
「ここであってんだよな」
「うん」
「大使館...これ戌威星の大使館ですよ」
「ええ、これ大使館?!すご!!」
「戌威族っていったら、地球に最初に来た天人ですよね」
「ああ、江戸城に大砲ブチコンで無理やり開国しちまったおっかねー奴らだよ。嫌なトコ来ちゃったなオイ」
「へえ、そうなんですか」
戌威族...へぇ、そうだったんだ。ってか、あたし天人に関する知識がほとんどないのよね。物心ついたときにはもうすでに開国してたし。天人が地球にやってくるようになったっていうことは聞いたことあるけど、あたしが育ったのはど田舎なので天人なんていなかったから江戸に来るまで見たこともなかったしね。...そういや江戸を歩いてて、びっくりしたな。あの虎みたいな天人見たとき、これが虎と人間のコラボレーションかってある意味感動したからね
「オイ」
「?」
「こんなところで何やってんだ、てめーら。食われてーのか、ああ?」
なんて思い出していると、いきなり低い声が聞こえた。その声の方を見てみると、犬みたいな天人がおっかない顔であたし達を睨んでいた。おお、犬と人間のコラボレーション。さすがに迫力ありますなあ
「いや...僕ら届け物頼まれただけで」
「はい、それだけですよ。本当に」
「オラ、神楽早く渡...」
「チッチッチッ。おいでワンちゃん酢昆布あげるヨ」
スパンと銀さんが神楽ちゃんを殴った爽快な音がする。...いやー神楽ちゃん、本当大物だわ。よくこんなおっかない天人を目の前にして、そんな余裕があるよね。感心しちゃうよ、全く
「届け物がくるなんて話きいてねーな。最近はただでさえ爆弾テロ警戒して厳戒態勢なんだ。帰れ」
犬みたいな天人があたし達をあしらうように手首を振って、帰れと言う。いや、あたし達も来たくて来たわけじゃないんだけどと内心ツッコんでいると、銀サンは殴られて痛がっている神楽ちゃんから荷物をひったくり、天人に差し出した
「ドッグフードかもしんねーぞ。もらっとけって」
「いや、銀さん。それってさすがに失礼なんじゃ?」
「そんなもん食うか」
「お前も普通な反応だな!って、あ」
天人は銀さんの手から荷物を叩き落とした。その荷物は宙を舞い、柵を軽々と越えて建物の敷地ないに落ちる。っていうか、せっかく届けたのにその態度はないんじゃないですか?
ドカン
って、ええ!!!!!
「ええっ?!ちょっと待って!爆発した?!なななんで!?」
荷物が落ちた瞬間ものすごく大きな爆発音と共に、柵がぐにゃりと壊れ、建物の破片がガラガラと雨のように降ってきた。この状況に天人は呆気に取られ、新八君のメガネが軽く上にあがり、神楽ちゃんは驚いたように上を見上げ、銀さんは相変わらず死んだ魚のような目をして、その破壊された光景を見ていた。そして、ゆっくり口を開く
「...なんかよくわかんねーけどするべきことはよくわかるよ」
そう言った後で、すうと息を吸ってこう叫ぶ
「逃げろォォ!!」
「はいィィィ!!!」
そうだよ。早く逃げなきゃ!だって、このままじゃテロリスト扱いになっちゃうよ。いくら知らなかったと言っても、この悲惨な状況があたし達がテロリストだという証拠になる。ヤバイ、早く逃げなきゃ!と思ったら、いきなり銀さんに手を掴まれた。ので、咄嗟にあたしも神楽ちゃんの手を掴む
「な、銀さん?!」
「新八ィィ!!てめっどーゆーつもりだ。離しやがれっ」
「嫌だ!!1人で捕まるのは!!」
「俺のことは構わず行け...とか言えねーのかお前」
「って銀さんも人のこと言えませんからァァァ!!」
「私に構わず逝って3人とも」
「えっ、ちょ神楽ちゃんひどくない?!それ!」
「ふざけんな。お前も道連れだ」
どうやら新八君がさっきの天人に捕らえられて、その新八君に手を掴まれているのが銀さんで、その銀さんに手を掴まれているのがあたし、そのあたしに手を掴まれているのが神楽ちゃん、と言ったような状態らしい。って、そうこうしているうちに犬の天人がぞくぞくとこちらに寄ってきていた。新八君が叫んでいるようにワン公一杯来てるんですけど!
どうしよう、本気でピンチですよ
「...あれ?」
その時、ワン公を次々と踏み台にし、華麗に飛んでいる人がいることに気づいた。その人はこちらの方に向かっており、最後に新八君を掴んでいた天人の頭を思いっきり踏みつける。そして、綺麗に着地して被っていた編み笠を取り、顔を明かす。流れるような長い髪に、綺麗で端正な顔をした...男?男の人だ。その男の人は銀さんの名前を口にした
「逃げるぞ、銀時」
「おまっ...ヅラ小太郎か!?」
「ヅラじゃない。桂だァァ!!」
「ぶふォ!!」
銀さんもどうやらその男の人を知ってるみたいで驚いたような顔をして男の人に言った。だが、どうやら銀さんの呼び方が気に入らなかったらしく、男の人は銀さんにアッパーをかました。あたし達3人は今の状況を忘れて、ぽかーんとしてその2人を見る。...一体、どういう仲だったんだろ?
「てっ...てめっ、久しぶりに会ったのにアッパーカットはないんじゃないの!?」
「そのニックネームで呼ぶのはやめろと何度も言ったはずだ!」
「つーか、お前なんでこんな所に...」
「って、ああ!銀さん、そんなこと言い合いしてる場合じゃないですよ!」
「話は後だ、銀時。行くぞ!!」
またさらにばっとワン公が目の色を変えてこちらに走ってきており、あたしはすぐに状況を思い出した。思わず銀さんに言うと、銀さんは舌打ちした。それがちょっと気になったけど、今はつべこべ言うんじゃなくてあたしは走ることに集中。とにかく桂さんの後をついていった
CCCCC
「バッチリ映っちゃってますよ。どーしよ。姉上に殺される」
「テレビ出演。実家に電話しなきゃ」
「ってか、あたし。めっちゃひどい顔してるんですけど」
「心配するな」
「え、どういうことですか?それは元からってことですか?」
あれからどうにかワン公を振り切って、あたし達はさっきの男の人...桂さんにかくまってもらっている。綺麗に片付けられている和室で、あたし達はテレビの前に座っていた(銀さんは寝転んでくつろいでいた)先ほどから流れるニュースではあたし達の姿がバッチリと映ってしまっており、新八君は少し怯えたように、神楽ちゃんは少し嬉しそうに食い入るように見ている。あたしはと言うと、テレビに映った自分の顔が何ともお粗末で少し情けない思いをしています。ハイ。どうせ、元からひどい顔してるかもしれませんけどやっぱり乙女は気にするもんなのです
「何かの陰謀ですかね、こりゃ。なんで僕らがこんな目に。唯一、桂さんに会えたのが不幸中の幸いでしたよ」
「本当だよね。おかげで命拾いしたし」
「ですね。こんな状態の僕らかくまってくれるなんて。銀さんの知り合いなんですよね?一体どーゆー人なんですか?」
そう言って新八君は銀さんに尋ねる。銀さんはやっぱり思いっきりくつろいでいて、「んー」としばらく声を発した後、めんどくさそうに答えた
「テロリスト」
「「はィ!?」」
「そんな言い方は止せ」
銀さんの答えを聞いて、あたしと新八君の声がハモる。...え、テロリストってちょっと待ってよ、と思ったとき、スーっと襖が開き、ぱっと見ると桂さんと後ろに何人か男の人がいた。桂さんは真っ直ぐあたし達を見て、言葉を続ける
「この国を汚す害虫"天人"を討ち払い、もう一度侍の国を立て直す。我々が行うは国を護るがための攘夷だ。卑劣なテロなどと一緒にするな」
「攘夷志士だって!?」
「なんじゃそらヨ」
桂さんの言葉に新八君が驚いたように聞き返す。攘夷志士、久しぶりに聞く単語であたしも少し驚いた。そういう人達がいるのは知ってたけど、身近にはいないし。...まさか桂さんが攘夷志士だったとは
あたしと新八君は驚きを隠せないでいたけど、神楽ちゃんはどういうことかサッパリ分かってないようで(神楽ちゃんも最近江戸に出稼ぎに来たって聞いたし)せんべいをバリバリ食べていた。いや、分からないのは分かるけど、空気ぐらい読もうよとちょっと思ったのはおいといて、新八君が神楽ちゃんに説明をする
「攘夷とは20年前の天人襲来の時に起きた外来人を排そうとする思想で、高圧的に開国を迫ってきた天人に危機感を感じた侍は彼らを江戸から追い払おうと一斉蜂起して戦ったんだ」
「ヘェ」
「でも天人の強大な力を見て弱腰になっていた幕府は侍たちを置き去りにし勝手に天人と不平等な条約を締結。幕府の中枢を握った天人は侍から刀を奪い彼らを無力化したんだ。その後主だった攘夷志士は大量に粛清されたってきいたけど...」
新八君はそこで言葉を途中で切った。それから桂さんを真っ直ぐ見据えて、言う
「まだ残ってたなんて」
実際あたしも新八君と同じようにまだ、こんなに身近に残っていたことにとても驚いて。それから、そんな人と知り合いの銀さんは一体何者?と疑問に思ってしまった。あたしがちらりと銀さんの方を見ると、銀さんは大きなため息をついて、それから死んだ魚のような目をある一点に向けた
「...どうやら俺達ァ踊らされたらしいな」
「?」
「え、どういうことですか?」
「なァ、オイ。飛脚の兄ちゃんよ」
銀さんの言葉を聞いてよく見ると、桂さんの後ろでお登勢さんの店にバイクで突っ込んだ男の人が困ったように頭を掻いていた。間違いない、そこにいるのはあのときの彼だ。ゲジゲジ眉をよく覚えている
「あっ、ほんとネ!!あのゲジゲジ眉デジャヴ」
「ちょっ...どーゆー事っスか、ゲジゲジさん!!」
「いや、名前はゲジゲジさんじゃないと思うんだけど」
「全部てめーの仕業か、桂。最近世を騒がすテロも、今回のことも」
銀さんが低い声で桂さんに問う。数時間前、神楽ちゃんに買いだめしていたチョコレートを食べられ、激怒していたときとはがらりと雰囲気が変わり、いつにもなく真剣そのものだった。桂さんは銀さんが話しているのを黙って聞き、それから腰に差した剣をその手で掴む
「たとえ汚い手を使おうとも手に入れたいものがあったのさ」
そして、その剣を銀さんに差し出すように見せた
「...銀時、この腐った国を立て直すため再び俺と共に剣をとらんか。白夜叉と恐れられたお前の力、再び貸してくれ」
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とりあえず王道に池田屋事件から始めます。できるだけ原作に沿って話を進めたいので、ヒロインをどう混ぜ込むか難しいですね(さっそく弱音か)次回は池田屋後編!
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